忘年会のご馳走とは 呑兵衛東中野西口店

 ご馳走を探る

私も参加する今年最後の忘年会がありました。
これまでは、利用してもらう店側としての忘年会がほぼ100%でしたから、変われば変わるものです。
だいたい忘年会を名乗らなくても、日頃から何かと理由をつけては酒宴を開いている私ですから、「忘年会」と言えば、大義名分のように思えてしまいます。

「ご馳走とは何だろう?」
宴会料理などを考える時、こう思うのが常でした。
時価の高級食材や珍味を豪華に使うことだとは思えません。
プレミア付きの地酒を揃えるのも見当違いでしょう。
私にはそう思えても、世間の価値観が一致するとは限らない。
いつもここで悩むのです。

いかにも美味しそうに200種類のサワーやカクテルを並べたところで、私には何種類あろうとほぼ0種類と同じで意味がありません。「ゴールデンかぼすサワー」のように、よほど意味のはっきりした場合しか飲まないのですから。

その人が興味を持たないご馳走をいくつ用意しても、結局その人のご馳走にはならないということです。
私は予約を頂いたお客様に話の出来る限り、聞くことにしていました。
目的は?年代は?男女比率は?主役は?料理の好みは?酒の好みは?飲まない人は?デザートは?などなど。
やはり相手を知ることでしか答えは出ません。
知らない限り、店長・調理長はいつもそこで頭を抱えることになるのです。

 酒呑みのツボを知る

今回はJR東中野駅西口にある呑兵衛が会場でした。
この店の調理長は女性で、仕事での付き合いも長く、安心してここを選ぶことにしました。
最初のビールを飲み終わる頃に店長が届けてくれたのが地酒です。
東京の銘酒、澤乃井純米吟醸原酒「蒼天」

まさに東京の一年を〆るに相応しい一本を選んでくれていました。
原酒とは言え、力強さを少し抑えて、米の旨味を引き出した酒で、吟醸香も控え目です。

白子ポン酢と里芋
最初に出された前菜が「タラの白子ポン酢」と「里芋のサラダ」。
里芋にはアクセントで梅肉を和えています。心憎いことをやってくれます。

刺身もさることながら、天ぷらは串揚げにして野菜と海老、そして穴子を塩でいただきました。もうこの辺から写真を撮ることなど忘れています。

焼き物がまた気が利いています。
糸より他の地魚三種の幽庵焼き。日本酒に合うものを届けてくれ、酒の味も尚更に引き上げてもらえます。

その後に登場したのが「鯛しゃぶ鍋」
しかも、鯛の頭と中骨は焼いた後に鍋の中ですでに旨味を十分に引き出された出汁と一緒に入っています。
皿には鯛の切り身の他に長ネギ、水菜、豆腐というシンプルさが良い。
我々はここでノックアウトでした。もう腹に入りません。
鍋の後にうどんまで用意してくれていたのですが、丁重にお断りしました。

私には今年一番の「ご馳走」。
ご馳走とは何かを考える機会を改めて持つことができた上に、まさに一年の〆としての最高の場をいただきました。
店長、調理長とお店の皆さんには心より感謝申し上げます。
一年間ありがとうございます。