七夕 年に一度しか会えない人たち

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 七夕の朝顔市

間もなく七夕を迎えます。

地方によっては旧暦に合わせて8月にお祭りする所も多いようですが、私にとって7月7日は今でも忘れられないことがあります。

東京の夏の風物詩
 ・ 入谷の朝顔祭り(朝顔市) 7月6日~8日
 ・ 浅草のホウズキ市    7月9日~10日
この2つの催しは毎年日付が決まっていて、曜日で変わることはありません。従って、朝顔市は常に七夕を挟んだ3日間なのです。
七夕は織姫と彦星が年に一度だけ会える日です。
空の上でそんなロマンが語られる夜です。

朝顔市の間は担当していた鶯谷の店の前で、焼きとり・イカ焼き・トウモロコシを売るために、私は毎年3日間、店頭に立っていました。

焼きトウモロコシ

 年に一度の出会い

毎年決まってトウモロコシを買いに来てくれる女の子は、小学生からいつの間にか中学生になっています。
埼玉から来るというお母さんは、両手に朝顔の鉢をぶら下げて、何年か連続で会っています。
毎年店に来て飲食してくれる、30歳前後のご夫婦がいらっしゃいました。
少し足の不自由な奥様は杖を突きながら、優しい笑顔のお二人でした。
或る年、そのお二人に会えないことがありました。

「今年は会えなかったなあ」と思ったものです。

その翌年のこと。
お二人でまた来てくれたのです。
「わあ、今年は会えましたね」というと、お二人も笑顔で応えてくれます。
「アレ?今日は杖をお持ちじゃないですね。」
「そうなんです。去年手術して杖なしで歩けるようになったんです。」
「ああ、それは良かった!」
「ハイ、去年は手術で入院してたから来れなかったんです。」

こんな会話をしたことを今でも覚えています。
年に一度、七夕にしか会えない人たち。
でも、人の縁はどこでつながっているかわかりません。

たとえ年に一度でも、元気で会えることの嬉しさを教えてもらった、私の七夕、朝顔市です。