夢心 福島喜多方からの優しさの贈り物

 千葉で出会った「夢心」

夢心というお酒があります。
福島県喜多方市のお酒です。
むしろ「奈良萬」の蔵元と言った方が分かる人も多いでしょうか?

このお酒に出会ったのは、千葉の知り合いのご家族に不幸があってのお通夜の帰りのことでした。だから余計に忘れられないお酒です。

雪になりそうな気配の夜でした。
同行した友人と帰りに駅近くで立ち寄ったお店でのことです。
少しオシャレで落ち着いた雰囲気の焼き鳥中心の居酒屋さんでした。
寒さも手伝って「先ずは燗だな!」と注文して運ばれてきた燗酒が、この「夢心」本醸造だったのです。
しかし、私たちはそのお酒を口にした後で銘柄のことが気になってしまい、改めて確認したのでした。
最初から知っていて注文したわけではないのが正直なところ。
幸いその友人も日本酒が好きで、しかも詳しい。だから話が早い。

当然、「もう一本!」です。

美味しかったのです。
ご不幸の後でお酒の名前は「夢心」。
なんとも微妙な取り合わせですが、冷え冷えとした夜に、静かに待ってくれているような佇まいのお酒です。

全体のバランスが良く、出しゃばらない麹の香りと切れの良さが、やや温めの燗で包み込んでくれるのです。米の美味しさを心の底まで届けてくれる優しさがありました。

この「夢心」をさり気なく置いている居酒屋。
このお店の定番のお酒が「夢心」なのでした。業務用の酒燗器に頭を下げて立っている一升瓶。これがそのお酒です。
一般の居酒屋で特に高い値付けでもなく、コレほどのお酒を定番で置いているなど、先ずあり得ないでしょう。
そのお店の格も上がりますね。
なるほど、焼き鳥も美味しかったのですが、日本酒のことばかりが強く印象に残り、自分の中では評価の高いお店のひとつです。

 夢心が忘れられなくて

その後、どうしてもこのお酒を自分の店にも置きたくて、業者さんに協力してもらいサンプルで揃えてもらいました。

お通夜の時は本醸造でしたが、純米酒と2種をみせてもらって、メニューには純米を採用することにしました。
実に素敵なお酒です。

「奈良萬」の評判とは別に、ひそやかに主張している「夢心」の品質も折り紙つきです、と私は言いたいなあ。どちらかといえば、この方が好きかなと。

ご不幸がきっかけとはいえ、お酒に出会う機会は貴重です。常々から写真に収める習慣がないので、過去も今も画像で紹介することがほとんどできません。でも、このラベルの「夢心」という字がなんとも言えず心にしみます。この書体を見ただけで味まで想像できそうな感じです。ひとつひとつ商品を大事にしている証でしょうね。

お酒の良し悪しはあまり語りたくない。
優劣を語ることはできますが、あまり意味がない。
あくまで好きか嫌いかでみればいいと思います。
やはり、蔵人の思いは酒に宿ります。
これを私たちがどう受け止められるかがまさに出会いなのでしょう。
こうして「夢心」に出会えた私は幸せ者ですね。
身近で手に入らないから、日常で口にできないのが、今は残念でなりません。
蔵元リンク: 夢心酒造株式会社