純米酒の呪縛

 純米酒の呪縛

純米酒でなければ飲まない!そう決めている人も多いようだ。
確かに「純米」の規定は米と米麹しか使えないために、本来の酒造りに由来する。
その昔に、儲けの連鎖として「三増酒」と呼ばれた粗悪な酒があった。
米、米麹の他に、醸造用アルコール、醸造用糖類、酸味料などを添加して、原酒を三倍の量に増やして売ったということから付いた名前だ。

そんないきさつから「純米酒」にこだわりを持つ人がいることは理解できる。

しかし、純米酒こそが質の高い酒であると決め込んでいるなら、少し寂しい。
近年の酒造りでは、量を割増するためにアルコールを用いている例は少ない。
場合によって、パック酒など安価でそれなりの味と質を提供するには、それも

上手に利用しているケースはあるだろう。

さらに、アル添(アルコール添加)酒は二日酔いしやすい、と言うのは大きな誤解だ。
現在のアル添は、酒質を安定させたり、微妙な調整に役立たせていて、その添加量を最小限にとどめているケースも多い。

特に「本醸造」にはその添加量に制限がある上に、精米歩合にも70%以下という規定がある。従って、「本醸造」と名乗ることができる酒は、それだけ蔵元も自信を持って送り出している。おまけに注意すべきことを言えば、純米酒には精米歩合の規定が排除されている。そのため、米と米麹だけで造りさえすれば「純米酒」と名乗ることができるのだ。

個人の好みは尊重するとして、根拠のある理由でない限りは、選択肢を狭めて
酒を選んでいては、「楽しみ」が減ってしまわないか。
酒好きの下心から、私はこだわりなく試すことにしている。
酒にはそれぞれの良さがある。
蔵元もそれを求めて、個性を引き出し、主張すべく造っている。
だからこそ、できるだけ多くの中から、好みの酒や飲み方を見つけ出す方が、より幸せではないだろうか。