会津ほまれ 老舗の居酒屋によく似合う

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 会津ほまれ

「会津ほまれ」は東京で出会った最初の地酒です。
東京の居酒屋では、以前はもっと多くの店で「会津ほまれ」を置いていたように思います。かくいう自分がかつて仕事をしていた店も、メインのお酒は「会津ほまれ」でした。すでにその店はありませんけれど。

当時は私も福島の地酒で知っていたのはこれだけでした。

福島出身の友人から「花春」「榮川」という名前を聞いたのはその後のことです。
どこの居酒屋に行っても、酒と言われればコレと決めている、或いは決まっている定番の銘柄があることが殆どです。概ねメーカーとの提携や専売といったところですね。
徳利やお猪口を用意してくれたり、場合によっては店の看板の作製に協力してくれるかもしれません。

今の時代は「タダ」という訳には行かないでしょう。

ところがこのお酒にあまり気を使っていないところが少なからずあります。ある意味では儲けどころのお酒ですから、「安いに越したことはない」と考えているお店があるのも頷けます。でも、私が飲む側として暖簾をくぐるとしたら、寂しいです。
お寿司屋さんを語る時ににこう言っていた人がいます。
「美味しい酒を置いている寿司屋は、まず寿司も美味しいと思って間違いない」
「しかし、美味しい寿司屋が、必ずしも美味しい酒を置いているとは限らない」

 新宿の老舗居酒屋

新宿に古くからある居酒屋で、今もお手軽な料金で営業しているお店があります。意外と広い店舗で、調理場の中まで覗き込むことは出来ません。でも、そこお店の調理場には、きっと板前(職人)さんがいるはずです。

料理のアイテムは大型チェーンの店舗ほど多くはありませんし、黒板のおすすめ料理もことさらに気取ったものはありません。しかし、「天ぷら」を注文すると、やはり職人の技なくしては揚げられない品質で出してくれます。「あら煮」も自店で仕込んで提供していることは確かです。

このお店が「会津ほまれ」を主にして置いています。
もちろん特別に上位銘柄の選択ではないと思いますが、普通に燗酒で飲む時に、じわりときます。しかも料金を考えると十分に納得させてくれます。今時、大徳利で500円といえば、大きく期待しないものですが、酸度のバランスの良さが米の旨みを生かしているのでしょう。

店にとってのドリンクメニューの中心。
そこに置かれる立場のお酒には、やはり気を使いたい。
それこそがその店の信頼と思いやりに繋がると思います。これをおざなりにしてしまうと店の価値を損ねることになりかねません。
安く飲みたいという思いと、美味しく飲みたいという思いの折り合いの付け所は、なかなか難しい。予算にしっかり余裕があれば、店舗やメニューの選択に迷うことも少ないでしょうが、そこが意のままにならないのが現実です。
満足度の尺度はどこにあるのでしょう。
会計の段になって「安い」と感じるかどうかはあくまでお客様の判断です。メニューの料金を安く設定したと思い込んでいるのは、店側の判断でしかないのですから。