夏乃モトザケ 夏が終わって呑む

不思議な甘口酒


夏乃モトザケ・純米生酒。

甘い。でも酸度が気持ちいいくらいにグッとくる。

まるでアルコールの入った甘酒を濾したようだ。
アルコール度は14度。
試しにロックアイスを一つ入れてみた。
いやあ、これはたまらん。
グイグイ行ける夏の酒になった。
甘さも酸も壊れず、微妙な辛さが見えてきた。
これはまさしく夏の酒だ。

氷が溶けるほどに、呑気に構えてはいけない。

おすすめは、小さめのグラス。
大きな氷をドンと入れ、一口で呑めるだけ注ぐ。
そしてカラリと回す。
夏乃モトザケが氷を舐める。
一息入れて、含む。
舌の上を転がし、喉を鳴らす。

そこに至福の夏がやってくる。

夏乃モトザケ (1)

これもいつもの友人が送ってくれた新潟の酒。
日本酒とは…としみじみ思った。
試飲会などに出かけると、かつて程に「辛口」を謳ったものが少くなったように感じる。むしろ甘口の酒が堂々と並んでいることもある。

先日テレビで若手の蔵元が「辛口、辛口と言わないで欲しい」というようなことを語っていた。「米で造った酒だからそもそも甘い」とも。

私もそう思う。この甘さをどう生かすか、そして如何に甘すぎずに仕上げるか。ここに酸のバランスが欠かせない。しかも、蔵人は味の目標を定めて造り始めるというのだから恐れ入る。

同士になる

今回のように甘い酒に出会うと、思い巡らすことが増える。若い頃に「甘い酒なんて…」と言いながら「辛口!辛口!」と追い求めた時期もあった私だが、現在は甘いか辛いかはどちらでも良い。さらに吟醸酒にも特別な思い入れはなく、普通酒でも価格以上に旨ければ大好きだ。
そもそも吟醸酒と普通酒を比べてどちらが好き?とか、どちらが旨い?とかを選別するのは意味のないことで、必要もない。それぞれをシーンごとに楽しめば良いではないか。酒はそのためにある。
せっかく幅広い造りで世に出回っているのだ。飲むほうが幅広く対応しないでは勿体ない。

夏乃モトザケ

 金升酒造株式会社

改めて酒を知らしめてくれた気がする。確かにこの酒は類がない。きっと麹の力強さもその中に蓄えているのだろう。こういう酒には深く感謝する。一人我が道を行くがごとくの勇気を称えたい。だからこそ、世に当たり前にある価値観に挑戦するのであろうから、当たり前の接し方では良さを理解できないかもしれない。ネットではソーダで割って美味しいともある。
お互い切磋琢磨。造り手と飲み手。勝負ではなく、同士として世に挑んでいきたいものだ。