五十四萬石 その2 究極の前割り焼酎

 まさしく米焼酎

ある試飲会に参加した時に出会ったのが、この「五十四萬石」です。
焼酎も原酒に割り水をして、アルコール度25%で出荷されることがほとんどでしょう。その理屈で言うと、原酒が良くなければ割り水後の味がぼやけてしまったり、薄く感じたりするものです。
五十四萬石はまさしく米焼酎でした。米の酒です。それだけ米としての中身が濃いと私は感じたのです。

これまで「Foodex Japan」という幕張で毎年開催されるイベントの、ある年の焼酎コーナーで「きき酒・原材料当て」をやっていたことがあります。麦、芋、米、そば、泡盛の5種の代表的な銘柄を並べて、それぞれ何焼酎かを5種全てを当てるという内容です。
しかし、コレが当たらないんです。
私も勿論そうだったのですが、周りの人を見ても、まずいません。
用紙に解答を書き込み、窓口で採点してもらい、全て正解の人には記念品をくれるのです。

ところが、しばらく見ていても記念品を手にする人が本当に少ない。案外そんなものです。

美味しければ本来それで良いのかもしれませんが、それだけではやはり、少し寂しい思いが残ります。
この五十四萬石に出会った試飲会はかなり盛大なものでした。
アサヒ、キリン、サントリーといったメーカーさんのブースもあり、それぞれ力の入っているのがわかります。

五十四萬石の蔵元は球磨焼酎の郷、熊本の「高田酒造場」さん。失礼ながら大手ではありません。だから東京ではそんなに有名でもありません。
そしてそのブースにいらしたのは社長さんでした。いろいろな質問や疑問に丁寧に答えてくれ、焼酎についても、少しばかりですが詳しくなった気がします。
なんと、この五十四萬石はこの社長さんの「晩酌酒」だそうです。
どうしてもメニューに入れたくなった私は、後日に商談をさせてもらい、結局、私が担当をしていた店のメニューに採用することになりました。

 究極の前割り焼酎

特に私の目一杯の我侭をきいてくれて、試みに付き合ってくれました。
通常のブランドとは別に、この五十四萬石を、割り水してアルコール15%・1.8Lの瓶詰めにできないか?という我侭です。

焼酎は6:4で割る、とよく言いますが、それは日本酒と同じような口当たりになるということで、6が焼酎、4が水です。

25%の焼酎を6:4で割ると、15%になります。図々しいことに、もちろん蔵元の仕込み水で割ってもらうのですから、いわゆる「究極の前割り焼酎」です。

この1.8L瓶を冷蔵庫で冷やして、日本酒と同じように提供してみたいという私の我侭です。地酒を一つの看板にした店で米焼酎を日本酒と同じスタイルで味わってみてほしい。
米の味がしっかりと生かせていて、しかも味に深みがある、そんな元々が上質の米焼酎でなければ、前割りにした時に、飲みやすくなるだけで、芯にある米の旨さをも感じることなど出来ません。
信じられる焼酎だからこその我侭だったのです。

高田酒造場さんは快くサンプルを造ってくれました。他にもたくさん造っている別の銘柄の米焼酎を含め、度数も少しづつ変えながら。
やはり中でも最も米焼酎らしい五十四萬石に決め、限定数量ですが、瓶詰めして出荷してくれました。
大ヒットとまでは行きませんでした。
しかし、焼酎好きにも、日本酒好きにも飲んでもらえます。何しろ飲んで旨いのが一番です。一定のファンも付き、いくらか定着しました。
今後、米焼酎だからこそ、日本酒と同様に米を楽しむお酒として、もっと広まって欲しいと思います。それも、香りに走らず、米の旨みをしっかりと活かした米焼酎として、実力を発揮して欲しいのです。

そのひとつの試みとして、こんな究極の前割り焼酎があってもいいのではないでか、と私は今も考えています。

高田酒造場 五十四萬石