お母さんは元気だ もう何年も、きっとこれからも

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 お母さんが元気だ

少し登りになった坂道。
お母さんたちが子供を乗せたママチャリで、私をスイスイとお追い越して行く。
私の自転車は汗をかきかきやっとの思い。
「おお、すごい」と感心して見ている。
3人目のお母さんが横をすり抜けた後、気づいた。
なんと、電動アシスト付きの強者だった。

10年以上前から、高校生の男子に元気がないと言われた。
それに比べて女子たちの力強さが、前向きさがよく指摘された。
そんな子供たちが十数年たち、元気なお母さんになるのは当然なことだ。
いやいや実は、もっと前からお母さんたちは元気なのだ。

今の40代のあ母さんときたら、それが例えばママさんバレーの団体であろうものなら、天下無敵だ。

居酒屋の主役の座など瞬く間に勝ち取ってしまう。
くたびれたお父さんたちを横目に、お母さんたちの飲み会は、すこぶる元気だ。
なにしろ声がでかい。酒にも強い。
近くの席のお父さんたち(サラリーマンの方たち)は文句も言えず、小さくなりながら嵐のすぎるのを待つばかり。辛うじて店員に何とかならないかと、こぼすのが精一杯の抵抗だ。
ところがそんなに甘くない。お母さんたちは2時間で引き上げるほど柔くはない。
「何時閉店だっけ?」と尋ねられようものなら、正直に答えるべきかどうか、店員のほうに勇気が要る。
「店長!何時って言えばいいですか?」と責任を店長に振ってくる。
当たり前だ、下駄を預けるに越したことはない。

 お母さんの創る未来

そんなお母さんたちが育てているのだ。

これからの娘たち、女性たちはもっと元気に育つに違いない。かえって男の子たちが心配になろうというものだ。何しろ最近の若いカップルは、女性からの告白がほとんどだときいた。

時代とともに変化し、男性の飲酒傾向が減り、マーケットもさらに変化して行くに違いない。子供が減り、若者が減り、いったいなにが増えるのかと言って、「年寄り」と答えるだけでは能がない。
「保育園落ちた、日本死ね」というネットでの訴えがあって初めて、今さのように取り上げる。少子化の危機はずいぶん前からあるにもかかわらす、産む環境、育てるフォローをシステム化できないままで放置してきた。
「子供は国の宝」と言っていた時代が思い出される。
介護の需要が増えると決まっているのに、介護の仕事に手厚いフォローはこれからも期待できない。精神的にも肉体的にも、人一倍きつく、しかも命にも関わる介護に携わる人の収入が、他の人を大きく上回ってはいけないのか。
本質の部分で、効率化や機械化からは無縁でなければならない仕事、人が直接に手をかけなければならない仕事の、収入的評価が低すぎる。
保育士の仕事は、日本の未来を創る仕事だ。

介護士の仕事は、人間の尊厳を守る仕事だ。

つい見落とされがちだが、飲食の仕事も、仕事内容からは同様なのだ。
ところが、これに従事する自分たちが忘れている。
効率化、機械化して売価を下げると「料理がまずい」「サービスが悪い」となる。
そこを改善して人手をかけると、「値段が高い」と言われる。
そのしわ寄せは従業員に行く。

節約?できるのは一人当たりの収入になる。

お母さんたちは知っている。
一億総活躍というならば、誰に目を向け、誰を優先しなければならないか。
優しさも、厳しさも、みんな知っているお母さんたち。
今、このお母さんたちの力を借りないでどうするというのだ。
これからの日本の未来に、何が必要で、どこに間違いがあるのか。
それぞれの立場で、お母さんたちに習い、元気に、強く逞しく、改善改革に取り組むのに、まだギリギリ間に合うと信じて。