下関 壇ノ浦から巌流島 山口の変遷

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 歴史を動かした山口

熊本からの帰りを下関で一泊。
その翌朝は早めに出て、関門橋近くの「火の山公園」に立ち寄りました。
夜景が素晴らしいそうですが、訪れたのは朝です。
山の緑が朝の光に映えて瑞々しく、その中に海峡が浮かび上がります。
関門橋の通る近くが「壇ノ浦」という地名です。
かつての源平合戦に出てくる場所ですね。きっと潮の流れは速いことでしょう。

その先に小さく見えるのが巌流島。

これもまた武蔵と小次郎の決闘の場として有名です。
明治維新の時も主役になった長州。
歴史の中で常に重要な役割を果たしてきた土地柄は、人柄でもあるのでしょうね。
この山口県は「獺祭」の蔵元があるところです。
ずっと前なら山口の酒と言えば、真っ先に「五橋」の名前が出てきたものです。ところが最近では「獺祭」の方が多くの人の記憶にあるはずです。
しかし、私にはもっとご縁をいただいた蔵元さんがあります。

 株式会社 山縣本店

山形本店さんは「毛利公」「かほり」「かほり鶴」といったブランドの日本酒を醸造しています。
以前に私がいた店では、懇意の酒屋さんを通じて、こちらの山縣本店さんでプライベートブランドの「呑兵衛」というお酒を造ってもらいました。
山田錦の50%磨きですから本来は「大吟醸」です。

それをこちらの要望で、敢えて「吟醸酒」として出してくれました。しかも吟醸酒よりも低い価格で!しかも私からは「香りが強くなく、程々の辛さで、飲み飽きしない旨い吟醸酒」という、かなり無理無理の注文でした。

そのお陰で、店で取り扱う地酒の中でも、安値で販売させてもらえたものですから、これはさすがに飛び切りのおすすめ酒になりました。「浦霞本仕込み」と同じ値段で、このクラスの大吟醸酒が飲めるのですから、コストパフォーマンスも抜群です。

先ほどの「獺祭」とは全く質を異にする美味しさですから、「獺祭」に馴染みが強い人には、ついつい普通の酒に見えてくるかもしれません。ところが、この酒の美味しさを理解してくれる人には、一段と違った味わいを楽しめるはずです。

しかし謝らなければなりません。
諸々の事情があって、今は取り扱っていません。返す返すも残念なことですが、こんなことを思い出し、感謝しながら下関の歴史の横に、私の日本酒の歴史を並べて、山口県下関を後にしました。

山口の銘蔵元 山縣本店