ゼンベロこそが居酒屋の基本(?)その1

 居酒屋の歴史をすこし

「センベロ」とは「千円でベロベロに酔える」ということだそうです。

いつの頃からかこんな言い方が通るようになり、雑誌でも「センベロ酒場特集」のようなものが組まれたこともあります。一時流行った280円均一とかの店は、若干質を異にする酒場だと理解しています。

居酒屋の一大テーマが「安い」ということであれば、居酒屋はこれに挑戦してきた歴史ばかりです。1980年代からチェーンの居酒屋ブームが起こるのは、「安く飲める」と評価されたからで、しかも安かろう悪かろうではなかった。
大量仕入れ大量消費のスケールメリットから、一気に店舗数を増やし、居酒屋の激戦が始まります。
手を変え品を変え、やり尽くした後、バブル崩壊後の10年は、「どっちが安いか」の我慢比べです。体力のない個人店や、チェーンが姿を消していきます。業態変更で目先を変えて持ちこたえられればラッキーでした。
それも少し落ち着いたかなと思う頃、タッチパネル付きの280円均一の登場です。徹底して人手を省き、極力安く飮食させる。まるでお客様の方がベルトコンベアに乗っているようなものです。

そして次はいよいよ「センベロ」の登場。


本質を掴もうとしないまま、相変わらず、安さ勝負の消耗戦の繰り返しです。
しかし、果たしてこれが、本当に需要に合っているのでしょうか?
お客様の求めることは「安ければ安いほど良い」が正解なのでしょうか?
この値段だから仕方ない。
この値段なら、一応納得だね。
これで良いのでしょうか?

結局のところ、犠牲になるのは従業員給与とお客様の満足度です。
これを解決できれば、誰も苦労しないで商売は成り立ちますけどね。

 居酒屋の経営数値

居酒屋はオーナーや会社の方針によって、経費のバランスが変わってきます。しかも、居酒屋にかぎらず飲食店全てに同じ絶対比率が存在します。
それは60%
40年前から決まった数字と言われていましたが、最近では微妙に違ってきているかもしれません。この60%とは、正常な利益を出すための数字です。
売上に対する原価率と人件費率を足した数字が60%ということです。
他の経費が30%で、利益が10%。どんな飲食店も、これが基本です。

例えば、ファストフード店も、和服のお姉さんが付いてくれるような高級料理屋(今は減りましたが)も、この60%は同じで振り分けが違うだけです。

ハンバーガー店で500円使ったとして、原価が200円(40%)なら、人件費は100円(20%)で収める必要があるということです。
高級店で20,000円使って、原価が3,000円(15%)なら、人件費は9,000円(45%)が限度になります。

 居酒屋に大切なもの

この60%が崩れた店は、経営不振になります。
70%を越えれば赤字になり、店は姿を消します。

50%なら、ブームに乗って計画以上の利益が出ているか、もしくはこれでやっと計画利益ならば、見た目や奇抜さで集客できているということですから、その内お客様は実状に気づき、ブームは去り悪夢は覚めます。

ついでに言えば、店が古くなり、経費が少し下がっても、お客様がたくさん来てくれているから、65%でも目標利益が出ている場合もあります。まさにこれこそが真の繁盛店です。課題はどこで改装するかだけです。

要はこのバランスの中で、どこにお金をかけた店を選ぶかということです。

繁盛する居酒屋の一番大切な商品は「従業員」、二番目が「料理」、三番目が「ドリンク類」で、内装は補助だと私は信じています。
時間と手間をかけてはじめて商品になるものが、上位です。
「あれを食べたい!」と思ってその店に行くのと、
「あの親父がいる、あの娘がいる!」と思うのと、どっちが多いか。
店も、お客様も、悩みはいつも、ここです。

リンク:  センベロこそが居酒屋の基本(?)その2