銭湯と居酒屋 切っても切れぬ仲

 銭湯の価値をさらに高める

東京のPR番組で、23区の銭湯の数が600軒だと言っていました。

私が東京で初めて住んだアパートには、もちろん風呂などありませんでした。40年ほど前のことですが、その当時、アパートから東西南北歩いて5分ほどのところに、銭湯は7軒ありました。日替わりで利用しても一週間かかります。しかし今では、その7軒のうち2軒しか残っていません。日本がそれだけ豊かになったのだということにしておきましょう。

1980年頃、私が仕事をしていた居酒屋は営業時間が23:00迄で、片付けを終えて自宅に帰ってからでは銭湯のやっている時間に間に合いませんでした。幸い店の近くの銭湯は深夜1:00まで営業しています。ですから、仕事終わりに銭湯に行く、という習慣ができたのです。
しかし、それには深いわけが……
当時、同じ店で仕事をしていた女性がその銭湯の近くに住んでいました。
仕事仲間で家風呂のあるものなどいるわけもなく、その女性は、部屋に共用の石鹸とシャンプーを用意してくれるという、粋なはからいをしてくれたのです。
さらに輪をかけて、銭湯の隣が2:00までやっている居酒屋
これに敵うものなど、ある訳もない。
ここからはご想像通りです。
仕事が終わると、4~5人揃ってその居酒屋に行き、少し遅れて彼女が風呂道具を持ってきてくれる。あとは順番に席を外して、ひとっ風呂です。
銭湯の隣が居酒屋、いや居酒屋の隣が銭湯、意識の中でどっちが先か定かでないですが、こんな恵まれた環境は探しても見つからない。この両者の「切っても切れぬ仲」を実感出来た幸せは、誇りに思うことにしています。

 風呂あがりの相性

現在「昼のセント酒」という深夜番組があります。外回りの営業の仕事を途中でサボって昼の銭湯に入り、近くの居酒屋で生ビールを飲むという設定で、怠け者の心をくすぐってくれます。

今の銭湯はその昔と比べ、生き残る道を探すために、別の価値を創り出そうとしているように見えます。5月に行った唐津の温泉も、ロビーの脇に小さな飲食店がありました。でも、その内容は少し的外れのような気がしましたけど。郊外型の大型スーパー銭湯ではなく、車利用のない街場の銭湯こそ、酒好きが勝手に決めた好相性につけ込むのも手じゃないか!と思うのです。

若者たちから見れば銭湯も酒屋も「昔の商売」として、消え行くものにリストアップされていそうですから、似た者同士、手を組んでみてはどうでしょう?

私などは常識のように、切っても切れぬ仲と考えていますが、これを新しい価値として演出することができれば、本当に新しいものと勘違いして、都合よく騙されてくれるかもしれません。

「銭湯と酒屋の角打ち」、これを少し捻って進化させれば、私にはその姿がアリアリと想像できるのです。大きな売上増にはならないでしょう。でも、徐々に客数増には繋がると思いますよ。やり方を見つけることは出来そうです。
こんな夢を見てると、つい喉も鳴ってしまします。
どうも格調高い経営論とは言えそうにないですけどね。