飲食店の営業職 意識の置きどころ

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 特別待遇営業職

世に営業職の人はいったいどれほどいるのでしょう。
営業というと、「真夏の暑い日でも、大汗を書きながら、外回りをしている人」というイメージを持ちませんか?
居酒屋のホール職は、まさに営業職のひとつです。
しかし、真夏でもエアコンのきいた店の中で、嵐の日でも極寒の冬でも雨風には晒されないで仕事ができる営業職ですから、楽(?)ですよね。
特別待遇のような営業職です。

ところが、そんなことは全く意識にない人がほとんどだと思います。
チェーンの居酒屋には、ひと括りに出来ないほどに様々な業態があり、ホール職の役割と調理職の役割もいろいろに交錯しています。店によっては大した調理経験がなくても調理場の責任者が出来たり、十分な経験と技術なくしては調理場として務まらなかったりします。中には刺身を提供するのに、包丁は必要ないところだってあるくらいです。
また、元々は板前だった人が店長やホールの責任者をしていたりで、外からでは見えない部分がたくさんあります。
役割分担や責任の範疇など曖昧さが生まれることもあるかもしれません。
そんなこんなが絡み合うだけに、居酒屋の営業職に対しての大きな勘違いをしている場合があります。
それは、料理やお酒を売ってくることが営業の仕事で、それはホールの仕事だと決めつけているからです。

 勘違いその1 調理場

調理場の人たちは、「自分は料理を作っていればいい」と考えている人が意外に多いものです。
自分たちも営業職だとは、微塵も考えていません。
調理場の造りには、仕切られてお客様の目には触れない調理場もあれば、カウンターでいつもお客様から見られている調理場もあります。しかも自分勝手に線を引いて、目の前にお客様がいるにも関わらず、うっかりするといつの間にか意識の中にお客様が存在しない場合だって起こり得ます。

お客様が「これ食べたいなあ」、「頼んでよかた」と思ってくれる料理をどれだけ用意できるかが、営業につながると意識している調理人は案外に珍しい存在ようです。お客様にとって魅力的な商品を揃える意識を持つことが調理場の営業の始まりです。
さらに強力な調理場の営業があります。
「今日はいい鯵が入ってますよ」とカウンターの中からお客様に声をかければ、これこそが最高の営業トークだと知っている調理人はほとんどいません。これにはホールの人が束になってかかっても敵わないことです。
「◯◯さんの料理を食べたい」と思ってもらうことが、調理人の目指すべき最高の営業です。

 勘違いその2 ホール

飲食店の「営業」は、他と比べて決定的な違いがあります。
来店してくれるお客様の100%が料理や飲物を買うことが目的で来てくれているということです。既に買ってくれることはほぼ決まっていますから、「その1」のような料理を用意してくれていれば、店内で売ることには何の苦労も要りません。非常に恵まれた営業環境です。
だからこそ、勘違いしているのです。

ホールの人は、店内で物を売ることは営業のほんの一部でしかないことを知りません。飲食店は、お客様に来てもらいさえすれば買ってくれるということが、頭に入っていません。飲食店の営業の本質は「来てもらうこと」なのです。しかも何度も繰り返し、繰り返し。
「△△さんに会いに来た」とお客様が言ってくれれば、しめたものです。

この「来てもらうこと」という本質をわかっていれば、店の全員で取り組むことは、自ずと共有化し易いはずです。
私たちは日常の中で勘違いしていることがたくさんあります。
居酒屋にとってもう一度それを見直してみれば、次の一歩を見つけやすくなる。
私はそう信じています。