La Malle de Bois ラ・マル・ド・ボァ その2

 SASA ささ

列車が走り出す間際に乗り込んできた若いカップルがいます。荷物から、どうやら旅行だろうと見えます。ところが、並んだ席が取れなかったのでしょう、離れて別々の席に腰掛けようとしています。
「2人なんでしょ?席替わりますよ。」と声をかけると、意外そうにこちらを見ています。

こちらは3人連れですが、私は2人掛けに一人だけでしたので気軽なものです。若い二人の折角の旅、楽しませてあげようではありませんか。私が席を立つと、若い二人は丁寧すぎるほどにお礼を言ってくれました。

さて、席も決まったことですし、先ほど見つけた美味しそうなものと対面に行くとします。売店では先客のお会計が終わるところでした。ガラスケースの上のメニューから「SASA(ささ)無濾過非加熱の発泡酒(550円・330ml)を注文しました。一時間の列車旅、すこしのんびりしましょう。一緒にオリジナルのクリアファイル(162円)も購入しました。

SASA竹林麦酒醸造所

「SASA」は、いわゆる地ビール(クラフトビール)です。
醸造元は真備(まきび)竹本麦酒醸造所。
竹本麦酒醸造所
ラベルはこの列車専用になっています。
説明のようにフルーティで味わい深い奥行きもあります。
造りはペールエールで夏によく合います。
この列車に乗らなければ楽しめないものがある。こういう演出は必要なんだなあと。これもひとつの旅の醍醐味だと喜んでしまいました。
単純なものです。
先ほどのカップルの二人も、こんな列車の企画を知って乗ってきたのだとすると、彼らこそ本当に旅を楽しもうとしているのだなあと、感心しきりになってしまいます。

 旅をより印象づける仕掛け

旅をより良い思い出にするには、より印象づけるきっかけや、風景があれば好都合です。「あざとい」と言えばそれまでですが、これには小さな仕掛けをつくるのが分りやすい効果を生みます。
これは飲食業も同じ。その日の宴会を忘れられない集まりにしたり、ちょっとした送別会にもちょっとした「仕掛け」を積み上げて、ひとつ大きな「仕掛け」を用意すれば、何倍にも喜んでもらうことができます。

La Malle de Bois02

宇野駅から3駅目「八浜駅」で臨時停車します。
ここの駅舎は列車と同じ柄にカラーリングされ、観光客の記念撮影用に停車したことは明白でした。駅舎の写真は人が多すぎて撮るのをやめましたが、貴重な「切符入れ」を撮りました。
ここは当然、無人駅です。

駅舎や、列車を背景にして、家族連れの子供たちには、車掌さんの帽子を被らせてあげて、車掌さんたちが家族の写真を撮ってあげています。
もちろんカップルの人たちの思い出写真もお手のものです。

一人旅の人にも同様に、車掌さんからどんどん声をかけて、盛り上げています。

瀬戸内国際芸術祭と一緒に合わせて企画したラ・マル・ド・ボァという列車とこの駅舎だと、この時車掌さんから私は聞きました。JRがここまでやるのかと、意外な思いで列車と駅を見渡した私です。
わずか5分ほどの停車時間ながら、楽しみ満載の仕掛けでした。

発車のブザーが鳴れば、旅の続きが始まります。