鍋料理始めました

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鍋料理始めました?

10月に入れば少しづつ涼しい日が増えてきます。そんな中で居酒屋が鍋料理を始めてもほとんんど出ることはありません。たぶん、手軽な湯豆腐がぼちぼちと注文されるくらいでしょう。

「冷やし中華始めました」というフレーズがよく笑い話で利用されることがある通り、季節物のメニューを始めるタイミングは誰しもが悩むところです。そのための食材も揃えなければならず、調理場のオペレーションも一部変更しなければなりません。当然、お玉やアク取り、ガラ入れ、そしてコンロの用意も必要でどこに何台保管して、すぐに使えるようにするかは重要な問題です。

個人の小型店であっても、チェーンの大型店であってもその準備の手間は変わりません。もちろんチェーン店では、期日を定めて始められるように、夏前から写真撮りをし、そのための差込メニューも印刷して配布します。

メニューは何を揃えるか?

しかし、何より悩むのはどういう鍋料理を揃えるかということです。

– 魚は何を使う?カニは海老は?
– 肉類はどうする?団子が良いか?
– 特別な野菜を入れるか?
– 今流行っているのは?
– 今年注目されそうなのは?
– 仕込みはどこまでできる?
– 冷蔵庫に入るか?

味はどうする?

– 味噌味?
– 醤油味?
– 塩にする?
– ポン酢も必要?
– ゴマ豆乳?
– パイタンスープ?
– トマトスープ?
– カレー味も加えるか?
– 辛いのはどうする?
– にんにくガッツリもいい?

などと例を上げながら検討していきます。10年ほど前から「寄せ鍋」はあまり人気がなく、主役がハッキリとした鍋物の方が好まれています。しかし、これが大正解ということは先ずないだけに、従業員のみんながどう納得して始められるかにかかっています。できれば全員で一度は試食したいものです。そして、採用した時の売り文句をしっかりと理解して始めるのが一番ですね。自分が売っている料理の味も知らないという致命的なことをしがちですので、ここは注意が必要です。

いつから始めるか?

これは営業戦略です。

私の答えは、10月に入ればできるだけ早急に、本当は10月1日から始めたいですね。オーダーは少ないですが…

理由は簡単です。この時期から、お客様の記憶に残すことが大事なのです。お客様が「今日は少し寒いな、鍋でも食べるか」という気持ちになった時に、思い出してもらうためなのです。いくらか寒くなってから始めようというのも、それはそれでひとつの考えですから、否定はしません。肝心なのは、どういう戦略をもって営業するかです。

実際に私の若い頃は、「出もしないのに、早すぎるよ」と思いながら営業したこともあります。しかしながら、冬場の売上の大きな部分を鍋料理は支えてくれます。人気の鍋メニューを定着させることができれば、来店動機に大きく繋がります。だからと言って、10種類も並べて、さあどうぞ!というのは感心しません。専門店ならばともかく、一般の居酒屋ではたぶん無駄ではないでしょうか?

それよりも、鍋物の後に仕上げとしての雑炊やうどん等を用意することを忘れてはいけません。お店によっては、「注文があれば出せばいいや」と考えて、小さなPOPさえ掲示していないところもありますが、勿体ない。ここに工夫を加えて、きちんと掲示し、他店と差別化するのも大切なことです。

さて、季節は日々進んでいきます。チャンスを逃さず、お客様が必要とする時を逃さず、年末商戦で笑顔になることを応戦したいと思います。