居酒屋 自分の店の存在価値

店のコンセプト

自分で努力の末に独立開店した方も、既存の店で仕事をしている方も、自分の店はこういう店だと明確に言えるでしょうか?もちろん、独立オーナーの方ならば明確だと思いますが、働く従業員さんの全てが同じように言えるでしょうか?

これが案外にできてないのが現状ではないでしょうか。従業員さんのそれぞれが自分なりに答えることはできても、誰もが同じく自分の店の特徴や売り物や個性を、一律に語ることはできていない店がほとんどだと思います。

いわゆる、「店のコンセプト

これは私の場合もそうでした。全員に徹底することの重要性に気づいたのは、この仕事を始めてずいぶん経ってからのことだったのです。特にチェーンの居酒屋であれば、マニュアルだとかオリエンテーションブックなどに記載されてはいるでしょう。そしてこれを徹底させるために「◯◯五訓」などの唱和するフレーズもあるに違いありません。

しかし、こうしたお題目やスローガンだけでは店のコンセプトを正確に伝えられないことに気づきました。むしろ、売上や集客で壁にぶつかると、自分自身がそれを忘れてしまい兼ねないことも度々でした。そんな大切なことで、私のようなしくじりをしないですむように、何かのヒントになれば幸いです。

揺れ動く存在価値

「うちは鮮魚が自慢の刺し身居酒屋だ」と言いながら、売上に悩むと「焼きとり」を何種類も品揃えしたり、やきとり屋なのに、「刺し身もあると良いなあ」とお客様に言われると、じゃあと、刺し身も何点か用意したり、いつの間にか何でも屋になっていくことは珍しくありません。これを読んでくれている方の身近にも例はいくらでもあると思います。あえて衛生上の問題点は横に置きます。

しかし、それで良い時と、大間違いな時と両方あるのです。マーケットが小さな町で要望を聞く必要のある場合は、町に愛される店への方向転換と考えれば、ベストな選択でもあるでしょう。むしろ、開店した時のコンセプトがマーケットには少し無理があったと考える方が正解かもしれません。メニューの単価を若干下げながら、集客に繋げて町に受け入れられるということもありそうです。先ずは、コンセプトと実際の存在価値が一致しているかどうかを見極める必要がありますね。

ところが、この当初のコンセプトと実際の存在価値がズレていくことは大きな危険をはらんでいます。しっかりと見直したわけではなく、意識しないままに姿を変えてしまうと、客層まで変わり、売上に繋がらず、閉店に追い込まれることも出てきます。何のために最初のコンセプトがあったのかを理解していれば、変えてはならないことがあるはずなのに、不用意に崩しては、一から経営計画を立て直す前に転落へと進むことになります。

自分の店の存在価値

今現在、来店してくれているお客様が、自分の店に何を求めてきてくれているのか、正確に理解しているでしょうか?これさへも勘違いしているケースは度々です。自店のコンセプトは当然としても、それだけを求めて来てくれているわけではありません。もしかしたら、そんなコンセプトなどどっちでもよく、◯◯さんという1人の従業員さんが来店の全ての理由だってあります。お客様の小さな不満を◯◯さんが全部飲みこんでくれて来店につながっているかも知れません。

実際の自店の存在価値を正確に見極めることがどれだけでできるかが重要です。そしてそれが今後にとって有益か、或いは思惑違いになっているか。もしかすると、店としては望まない価値が出来上がって、それを求めて現在の来客になっているのだとしたら、ここから手を付けるべきです。

例を上げれば、「ここに来れば団体で騒げるから」とかの理由で客数を維持しているとしたら最悪な状況です。本来来て欲しいお客様が、コンセプトに合わないお客様のお陰で来てくれない可能性が高いでしょう。

もともとに設定した存在価値と現在の存在価値を自分たち自身がしっかりと理解し、把握していなければ、次への戦略は成り立たないのです。本来の店造りへの修正が必要なのか、若干姿は違えど、今のまま進めば良いのか、或いは当初の目標より良い方へ上方修正できているのか。

知っているのはお客様

別の記事でも書きましたが、お客様のご意見を聞くことは有意義です。しかも、従事する自分たちよりも、現在の店の存在価値を一番知っているのはお客様です。具体的な質問はしなくても、普段の会話を大事にしていれば気付くことは沢山あります。

私たちの知らなければならないことは、自分が思っている自店の存在価値と、お客様が認めている存在価値のギャップなのでしょう。きっと理想はギャップのないことです。ところがそんなに都合良くはいかないはずです。日々これを確認できている店が強い店となります。

私たちは、本当に自店の存在価値を知っていますか?勘違いのないよう、思い込みの独りよがりのないよう、そして、従業員さんの誰もが同じく胸を張ってその価値を語れるようにしたいものです。