醉心山根本店 老舗酒蔵の奥深さ

 醉心山根本店

三原駅から歩いて程なく、小さな川に差し掛かります。水がきれいに澄んでいたのが印象的でした。その川を越えると2分もあれ醉心心山根本店さんへ到着です。広島を代表する酒蔵が風情豊にその姿を現し、玄関が見えてきました。町並みに溶け込むような佇まいが、風格とともに町に愛されていることを伝えてくれる風景になっていて、見事なものです。

幾つも酒蔵を訪ねて来ましたが、歩く道々で思いを高めながら、町の中での酒蔵の居場所、町での受け入れられ加減が見えてくるような気がします。車で乗り付けることでは見えないものが。果たしてそんなものがあるかどうかはわかりません。しかし、私の中では勝手にそれを自分の中であれこれと位置づけて楽しんでいます。


暖簾には「横山大観愛飲の酒」と書かれていて、それだけの縁があった間柄だったことなど私は全く知りませんでした。

横山大観画伯と醉心 醉心山根本店さんのホームページより引用:
http://www.suishinsake.co.jp/taikan
日本画の巨匠・横山大観画伯が最も愛飲した酒が、醉心でした。大観にとって醉心は主食であり、米の飯は朝お茶碗に軽く一杯口にする程度で、その他は醉心カロリーを取っていたと言われています。

詳しくは蔵元ホームページよりご確認ください。

玄関を開けると奥まで続く通路があり、高い天井からはしっとりと落ち着いた雰囲気が降りてきます。5~6mほど先に灯りが見えていて、そこが事務所への入口に設けられたショールームでした。
「少し見せてもらっていいですか?」
「いらっしゃいませ、ごゆっくりご覧になってください」と先客の対応をしていた女性が明るく返してくれました。

 老舗酒蔵の奥深さ

展示と言うかショールームと言うか、そんな言葉では微妙に違うのです。そこに冷蔵庫はなく、酔心の歴史を思わせながら、テーブルの横には角樽を飾り、私などは放っておけばここに何時間でも居そうでした。


そうしているとありがたいことに、そこへ熱いお茶を入れてきてくれました。ちょうど「しぼりたて純米」を発売したところらしく、後から顔を出してくれた蔵人の男性が説明を加えてくれまいた。一度火入れしているので持ち帰りにも不安はないと教えてくれます。もう少し寒くなると生々(火入れなし)で出荷しますと更に楽しみを加えてくれました。

「橅のしずく」という、私には初めて見にするお酒と見比べながら、結局は「しぼりたて純米」をいただいて帰ることにしたのです。先ほどの蔵人さんが奥の倉庫から大事に緩衝材を巻いて、「醉心」の名入の紙袋に入れて用意してくれました。

老舗の蔵には歴史があります。歴史はたくさんの汗や涙や喜びで紡がれ、蔵の伝統や流儀になっていて、現代で言うマニュアルなどではなく、蔵人の心や立ち居振る舞いに染み付いたものとして残っているように思います。

先ほどの蔵人さんは玄関まで見送ってくれました。後ろ髪をひかれるとはこのことかと思いながら振り返ると、彼はまだ丁寧に頭を下げてくれていたのです。
醉心山根本店。
1860年創業。広島の三原から静かに全国へと広がる、素敵な酒蔵です。
良い時間をいただきました。
http://www.suishinsake.co.jp/