呑兵衛銀座一丁目店 新店で田酒を飲む

 渋谷から銀座

田酒を前にしてここまで辿る道筋を振り返っていました。
年末になって銀座に新規オープンした店があり、縁のあった昔の仕事仲間とそこで忘年会を企画しました。

せっかくだからと早めに出かけ、街々の様子を見ながら向かうことにして、渋谷経由で銀座まで。


夕暮れ前の渋谷スクランブル交差点。
ここはいつ見ても凄まじい人波で、上から眺める分には良いのですが、その中に飛び込むのはなかなか勇気のいる年齢になってきました。JR渋谷駅も大幅に変わるという話は聞いていて、この日はホーム上の自動改札機の位置が少しずれていました。内回りと外回りが同じホームを挟んで山手線が1本のホームになるようです。工事はまだ半ばにも至っていないように見えますので、これからが本格的になるのでしょう。大ターミナルとしての渋谷駅を稼働させながらの工事となれば、その困難さも計り知れないほどでしょう。

 銀座に根付くもの

私の生活の日常に銀座が存在したことがなく、常に外から眺めるものでした。従って人々が求めた銀座については自分の実感で理解しているものはなく、想像するしかないのです。


銀座で買い物をするということが大きなステイタスだった時代は、すでに過去のものと思われます。大きな商業施設が経営の譲渡なども含め、次々に姿を変えていきながら銀座は生き残っています。そんなひとつがこの時知った「マロニエゲート銀座1」です。プランタン銀座が閉店で新しく「マロニエゲート銀座2」として生まれ変わると同時に、隣のマロニエゲートが改装されたそうです。5~9階に東急ハンズが入っているなんて知りませんでした。

こうして変わりゆく銀座は当然なのでしょうが、変わらず古くから営業している居酒屋「升本」さんも健在です。私が利用したのは30年も昔の話ですが、その時でさえ店内には歴史を感じたものでした。

「三州屋」さんも元気に営業されています。まさに今風ではない居酒屋が銀座でしっかりと地位を守り続けていることがひとつの答えにもなるのでしょう。

変わらぬものと変わるもの。
どうしても流行に左右されるものに従って変わっていくことは当たり前のことです。流行の先端であることが求められているなら、それは銀座のような街にある物販店の宿命であり、そうでなければ成り立たないのです。それには飲食店も同様の部分があります。しかし、前の升本さん、三州屋さん然りで、メニューも大きく変えす続けている飲食店は流行など追うわけでもなく、きっとその店に根付く変わらない本質がお客様の求めるものと一致していると考えるべきなのでしょう。

 新店舗の酒

ふらりと歩きながら銀座通りを東側へ渡ると、人通りがわずかに減りました。ショップ中心のエリアからいくらかビジネス街へ移りかけたということです。もう少し先の昭和通り近くが目的のお店です。

呑兵衛銀座一丁目店

地酒を中心にした居酒屋、酒場の発展系を言う方がいいのか、酒好きの心をくすぐる店造りになっています。どれでも好きなものを飲み放題という垂涎のコースで用意してくれたのですが、ここにメニューにはない青森の地酒の秀作「田酒」を特別にいただき、感謝の限りです。

ノドグロの塩焼きも絶品で、むしろ添えてある箸休めの梅干しの甘煮に調理長の心意気を感じました。中でも途中でそっと出してくれた珍味四点盛りは、もう声になりません。写真に収める余裕もなく頬を緩ませての時間をいただいたことには、まさに申し訳ないくらいでした。

田酒特別純米酒
株式会社西田酒造店 ホームページより引用:
青森県産酒造好適米「華吹雪」を使用した地酒の銘品。旨口ながらコクがあり、飲み飽きしないすっきりした味。
原料米     華吹雪
精米歩合    55%
日本酒度    ±0
酸度      1.5
アルコール度数 15.5度
小売価格(税抜) ¥2,525-/¥1,262-
青森のお酒では最も有名で、しかも今ではなかなか手に入れにくい逸品です。華やかな香りの吟醸酒が席巻した時期には、決して派手でないために忘れられたようになっていました。しかし、燗にしても他を凌いで主役になれるし、米の旨さを存分に教えてくれるこの田酒は、私にとって一つの原点のようなお酒です。

地酒を看板にした店でさり気なく置くことができれば、ほんとうの意味での日本酒ファンが目を向けるのは必須と思われます。

新規でお披露目となった店の将来は、この銀座でどう展開いていけることでしょう。適切な値段で地酒を飲める店は意外に少ないのです。銀座を訪れた時の行きたい店がもうひとつできたのは幸せな思いで一杯になりました。