醉心 純米しぼりたて生詰

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 広島土産

昨年の秋、広島の三原にある醉心山根本店酒造さんから持ち帰ったお酒。
「醉心純米しぼりたて生詰」
先日にやっと飲む機会を得て、楽しみにいただきました。
香りは穏やかな米の香りで、意外に主張する酸が微妙に残り、そのふくよかさを楽しむことができました。
ボトルの裏書きによると:
フレッシュで爽やかな香りを封じ込めた新酒です。しぼりたてのフレッシュな香りを軟水仕込みによるやわらかな口当たりが調和したお酒です。
精米歩合  65%
アルコール分 15%

出かけた先で寄った酒蔵のお酒というのは、それだけで自分勝手な物語を次々に重ねて楽しむことができるのがお土産のひとつ。朝日に輝く「醉心」の看板が上がった煙突の姿までが蘇ってきます。

静かな街で長い歴史を築いてきた酒蔵から送り出された季節限定酒。

「一度は火入れしてありますので…」と蔵人さんが持ち帰るのにも楽だと教えてくれたように、生々と比べれば管理しやすくお土産にもぴったりでした。こうして古いものと新しいものが共存するのも日本酒の特長で、かつては酒蔵まで行かないと飲めなかった状態のお酒も、簡単に流通し手に入りやすくなりました。お陰で私たちは幅広い日本酒の世界を知ることが容易になり、酒蔵もバラエティ豊かな商品を揃えることができるようになったのです。

 山根本店グループ

醉心さんは東京の神田などに何軒も自社関連の和食店を営業されていて、多くの人たちにも馴染みの銘柄になっています。日本酒と料理の相性にも気を配っている証かも知れません。銘柄として世間に知らしめるのにも料理店としての役割は大きいのでしょう。

ところが、かつて東京でも一時代を築いた「喫茶マイアミ」がこの山根本店さんのグループだったことを私はこれまで知りませんでした。最盛時には100店舗以上展開されていたというのは十分頷けるのですが、どうにも醉心とマイアミは私の中では結びつきにくいのです。しかし、この意外性こそが原動力になっていたのだとしたら大変に愉快です。

現在では「集グループ」というのが中心のようで「炭火Bar集」というお店は以前に五反田で私も行ったことがあります。自分の店に持ち帰ってそっと真似したメニューがありました。縁といえばこれも縁なのか、お酒を思って辿っていみる先に色々とつながることがあるのは不思議です。

醉心純米しぼりたて生詰
広島の三原で買い求め、東京でのんびりとグラスを傾ける時、果たしてそこに浮かぶ風景は…
深夜に飛び込んだ喫茶マイアミのタバコ臭さでもなく、炭火の上に乗った肴を燻べる煙でもなく、酒蔵で対応してくれた蔵人さんの少しはにかんだような笑顔。これも刻んだ歴史のひとつとして風景。
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醉心山根本店 老舗酒蔵の奥深さ