もうやめにしよう 恵方巻き

 今年の恵方巻き

ことし2018年2月のある日、スーパーの広告にあったフレーズが話題になった。
「もうやめにしよう」
兵庫県の姫路を中心に何店舗か営業する「ヤマダストアー」というスーパーマーケットが発行したチラシ。「売上至上主義、成長しなきゃ企業じゃない。そうかもしれないけど、何か最近違和感を感じます。」という言葉とともに「もうやめにしよう」のタイトルで恵方巻きについて書かれたチラシのニュースをみて、これには参った。
私そのものは10年以上「恵方巻き」を売ろうとすることにさえ違和感をもっていたのだが、売る側からの今回の提案には正直なところ本音を見せてもらった気がする。
元々は大阪の花街での風習だったとは聞いたことがある。それが大阪の一部では広まったらしい。ところがそこに「恵方を向いて包丁を入れないまま無言でかぶりつく」というもっともらしいことが纏わりついたのはいつだったことか。


一度に何本も食べられるわけもなく、日持ちがするわけもなくという商品を扱うことになる店舗では、スーパーであれ飲食店であれ、ノルマという名目のもと従業員が迷惑を被るという話が公に伝わってこないのが不思議なほど。

「せっかく節分だから恵方巻きでも…」という気持ちに一度たりなったことのない私には、売ろうとする方も買おうとする方も、何か目に見えない魔法にかかっているようにしか見えない。

そういう私もかつては本社の戦略としての「恵方巻き販売」にはうんざりとしていた。常連のお客様が気を使ってくれて、また従業員の女性がお客様に精一杯に声を掛けてくれて、それなりは本数を売ることはできていたのは有り難いこと以外の何物でもない。達成感などというものではなく「無理を言ってごめんなさい!」という気持ちの方が大きかった。

もちろん店舗で自分たちが巻いているだけに、無駄にしたことは一切なかったがヤマダストアーさんのチラシにはこちらまでが「ホッとする」思いだった。おそらく各スーパーが自店舗で巻いて用意することなど殆どないはずで、当然それはメーカーの負担としての存在に違いない。海苔に巻かれることなく使命を終える食材がどれほどあるのか。

12月25日のクリスマスケーキだって、いくら冷凍とは言え同様の運命を辿るケースは簡単に想像はつく。

 もうやめにしよう

結果として日本人の多くがかかってしまう、加熱という熱にうなされて、いろいろなものがブームになり、去っていく。毎年2月になると、テレビでも「今年はこんな恵方巻きが話題です」などと取り上げることが当たり前なのだが、来年は何かが変わることを私は望んでいる。
2月14日は、これもうんざりとしている女性の姿をニュースが映し出すことはない。しかし、口には出さないだけで、もしかすると風習を否定する話題が出ることを、夥しい数の女性たちが待ち望んでいるかも知れない。

日持ちがし、お腹がいっぱいになるほどには食べられないチョコレートだからこそ良いのか良くないのか。チョコレート業界の1年の売上の半分をこの時期だけで稼ぐというから、そう簡単に廃れてもらっても困るわけだ。

人間がお腹に入れられる量は決まっている。ついつい美味しさに負けて満腹になるまで口に入れ、今度はダイエットという不合理なノルマが付いてくる。先進国の人の腹を満たす家畜のために費やされれる労働と飼料作りを減らして振り替えることで、世界のどれだけの人の飢えを解消できるのかを以前に数字で聞いたが正確には忘れた。1:数十人だったような気が…
10人分の飼料作りを止めて直接に人間の食料作りに回せば、数百人の飢えをしのぐことができるわけだ。
「もうやめにしょう」の言葉の重みを私は改めて自分に思い知らせようとしている。