2018秋田の酒きき酒会in東京品川 その3

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 福小町・株式会社木村酒造

この品川でのきき酒会当日は特別に冷え込んだ3月7日でした。そのせいで会場に入るまでは燗酒が恋しい気持ちでいっぱいでした。ところが会場の各ブースには、前記事で紹介した春霞の花ラベルに代表されるように春限定のお酒も並び、花見シーズンを当て込んだ商品がたくさんありました。

特別純米生酒直汲み角右衛門

数ある中でもこの福小町の鮮やかさは群を抜いて目立ち、すでにお花見気分です。毎年人気の直汲みシリーズで限定流品だそうです。タンク2本からの直汲みなので日本酒度が若干違うというところが案外魅力ありそう。生酒ならではのフレッシュ感がたまりません。
・ 使用米  吟の精、めんこいな
・ 精米歩合 55%
・ 使用酵母 協会1801号
・ アルコール 17度
・ 日本酒度 -1.0~+1.0
・ 酸度    1.4
・ 小売価格 2,800円(税抜)/1.8L

使用米が「吟の精」と「めんこいな」。私はこの「めんこいな」というお米は初耳でした。少し調べてみると酒米ではなく食米でした。

全農秋田本部さんのホームページより引用:
秋田弁で「かわいいな」を意味する「めんけえな」を語源としております。粘りが少ないものの外観と香りがよく、さっぱりした食感が特徴で、多くの方々に可愛がって欲しいという思いから、命名されました。
あきたこまちよりも粒が大きいとあります。個人的には「めんこいなというお米で造ったお酒です」というフレーズが秋田県以外では受けそうに思えるのですが、思い過ごしでしょうか。

 出羽鶴・秋田清酒株式会社

こちらの秋田清酒株式会社さんでは4つの銘柄をそれぞれ競わせるようにして造っています。出羽鶴、刈穂、やまとしずく、晴田の四銘柄。特に出羽鶴酒造、刈穂酒造と二つは蔵の場所も全く別で各自独立していると考えた方が良さそうです。この日の会場でも出羽鶴と刈穂は隣同士で別のブースを設けて出展していたので、なおさらそう感じました。

出羽鶴生もと仕込み純米酒
・ 使用米  美山錦、めんこいな
・ 精米歩合 65%
・ 使用酵母 協会701号
・ アルコール 15度
・ 日本酒度 +3
・ 酸度    1.5
・ 小売価格 1,000円(税抜)/720ml
秋田清酒株式会社のホームページより引用:
おすすめ飲用温度 10-15℃ または 40-50℃
蔵伝承の秋田流生もと仕込で、寒冷期にじっくりと長期低温発酵を行い、きめ細やかな香味と、深みのあるなめらかな旨味が特徴です。肉・魚・鍋物などの料理に相性の良い純米酒です。

昨年のきき酒会の時の記事では少し取り上げただけなので、ここではもっと詳しく紹介します。

ここにも「めんこいな」が原材料に使われていますので、しばらくこのお米の名前は覚えていられそうで、自分もやや安心。お米がどうだという実感ではわからないながら、晩酌価格で出されているこのお酒の特徴がよく見えます。冷蔵庫で冷やしすぎず、いわゆる冷や(常温)か熱燗で飲むのに適するという内容が、自分で飲んでみて伝わってきます。夏ならば冷蔵庫で管理しながら、冬は室温でも問題なく、好みによって燗をして楽しむ。生もと造りの魅力もそこに詰まっている感じです。

何度も話に出すことで「日常にある日本酒」こそが日本酒の将来を支えると私は考えていて、プレゼント用やお祝い用、ハレの日用にばかり力を注いでもどうなんだろう、というのが私の正直な意見です。そんな中でのこの「出羽鶴生もと仕込み純米酒」は力強い味方です。

出羽鶴純米吟醸飛天の夢にごり生酒
同じく出羽鶴の人気商品、飛天の夢

先ほどまでの話と矛盾してはいけませんが、フレッシュ感満点のこんなにごり酒も偶には味わってみたい。失礼ながら、毎日何杯も飲んでいては飽きてくるに違いなく、もちろん日常に置いているにはやや無理があるのはわかります。しかし、1,500円(税抜)/720mlならば時には自分で買ってみることも可能でしょう。友人などとの集まりに、ラベルの名前を見ながら若き夢を語るも良し、思い出すも良し。楽しむシーンを演出してくれるはずです。