2018秋田の酒きき酒会in東京品川 その〆

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 どこに日本酒造りの目標を置くか

ここからは簡単な紹介に終わってしまいます。
詳しく紹介しうるほどに記憶がないというのが正直なところです。

 新政酒造株式会社

こちらは列の仕切りにロープを用意して、並び方は整然としています。しかし何だか順送りのような感じで、後ろで待っている人のことが気になって、担当の方と何の話もできないままでした。こういう試飲会の参加者はお互いに気を使って譲り合い、混乱なく回ることが暗黙に了解されているルールがあるのに、この対応は幾分残念に感じました。確かに人気の蔵でもあり並ぶ人の多さも流石ではありますので、次回以降の対応を期待します。

 両関酒造株式会社

両関純米酒
・ 使用米   ゆめおばこ
・ 精米歩合  59%
・ 使用酵母  自社培養酵母
・ アルコール 16度
・ 日本酒度  +0.5
・ 酸度    1.5
・ 小売価格  2,190円(税抜)/1.8L
精米歩合に拘って比較的手軽に飲める場所に置いてくれるお酒。もしかしたら、このクラスの価格帯で自慢のお酒を出すというのは、各蔵元で大変な思いをしているに違いないと感じました。ある意味一番儲からない価格帯でしょう。私たち消費者がどのようなお付き合いをすることで助かるのでしょうか?

 まんさくの花・日の丸醸造株式会社

甘酒仕込みヨーグルトリキュール・ようぐるしゅ

変と言っては怒られますが、このお酒は正にヨーグルトでした。
ヨーグルトと甘酒のカップリングは案外に合っているのだと思います。飲んで違和感など何もなく、むしろ「酒だ!」とは思えなほどにヨーグルトでした。
もちろん分類は清酒ではなくリキュール。300mlで572円(税抜)という価格は普及には邪魔をすることでしょうけど、挑戦としての出来栄えは見事でした。また飲んでみたいです。
お客様を惹き付ける魅力を探りながら各蔵元は努力を重ねています。

 酵母が違う

 秋田晴・秋田酒造株式会社

大吟醸秋田晴
・ 使用米   吟の精
・ 精米歩合  50%
・ 使用酵母  AKITA雪国酵母
・ アルコール 15度
・ 日本酒度  +2
・ 酸度    1.2~1.3
・ 小売価格  1,190円(税抜)/720ml
「華やかな香りとスッキリとした味わいが特徴です。表ラベルには秋田晴自慢の仕込蔵が描かれており味わいだけでなく見た目にも新しい秋田晴をお楽しみください。」とパンフレトに記載。
画像では下半分が切れていますので分かりにくいのはご容赦ください。酵母がAKITA雪国酵母だというのも忘れてはいけません。価格からも、かなり頑張った造りです。

 奥清水・株式会社高橋酒造店

奥清水・純米吟醸美郷雪華
美郷雪華酵母で造った1,820円(税抜)/720mlの純米吟醸酒。

「美郷町オリジナル品種で「白いラベンダー」から採取した酵母で仕込んだ純米吟醸です。」とパンフレットにはあります。

私にはラベンダー酵母だということを利き分けることはできません。東京農大が中心になって育ててきた「なでしこ酵母」はかなり多くの蔵で使っています。酵母の果たす役割の大きさや実力の違いを私は知るだけの知識や技能が足りないので残念です。このお酒を広めるには価格が厳しいかなあというところ。

 AKITA雪国酵母(UT-1)


秋田県で独自に開発したAKITA雪国酵母のコーナーも設けてあり、県としてもその特徴などを大きくアピールしたいのだと思います。また各蔵でもこの雪国酵母を使ったお酒をこぞって造っていて、活発な様子が見て取れます。
秋田県酒造協同組合ホームページより引用:
「AKITA雪国酵母(UT-1)」の開発
(前略)秋田の清酒を海外に広げるため、海外市場の過酷な流通・貯蔵環境を想定し、平成24年(2012年)から秋田県独自の純米酒・吟醸酒用酵母の開発を進めてきました。その結果、香りの変化が少ない「AKITA雪国酵母(UT-1)」(2015年11月特許出願)を開発しました。
「AKITA雪国酵母(UT-1)」の清酒の特徴
リンゴ・メロン様の吟醸香の一成分であるカプロン酸エチルの生成が高く、アルコール耐性を有し、香りの変化が少ないという特徴があります。(中略)平成28酒造年度では、18の製造場で商品化されています。

私が説明するよりも正確に丁寧に記載されています。もっと詳しくはホームページでご確認ください。日本酒の味の芯はお米と麹で決まるのでしょうが、酵母に依る香りの彩りで幾様にも姿を変えるのですから不思議です。今回のきき酒会の主催である秋田県酒造協同組合の積極的な取り組みは参考になります。パンフレットを見ると、そんな秋田県でも2000年に53蔵あったのが2017年では37蔵にまで減少しています。

日本酒の未来へ向けて、旧態依然で良いわけがないことを誰もが知っていながら、どうして良いかわからない。目を広くに配り人が求める日本酒を知ることができるでしょうか。
秋田の皆さん、ありがとうございました。