健康増進法改正案?改悪案?

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 健康増進法改正案

2018年3月9日のニュースで、政府が健康増進法改正案を閣議決定したと報じていた。森友さんで忙しい議員さんたちとマスコミはあまり関心もなく、重視もしてないようだ。

2020年の東京オリンピックに向けて国際社会にも恥ずかしくない飲食店や公共施設の環境を実現するためらしい。しかし、私はこの法案が通ると飲食店を苦しめる結果となり、そして国際社会には認めにくい飲食店ばかりになると確信する。

飲食店は原則禁煙だが小規模店は例外を設けるらしい。そしてその例外の客席の平方メートルをどうするかで長くもめていいた。
産経の報道によると:
既存の小規模飲食店について「個人経営か資本金5000万円以下」で「客席面積100平方メートル以下」の場合、「喫煙」「分煙」などの標識を掲示すれば喫煙を認める。
どうやら大規模飲食店(ほぼチェーン店)と新規出店は禁煙になるようだからややこしい。
果たして、国会では議員さんたちがどう判断するのだろう。

 未来が見える数字

1980年頃、私の友人たちは10人集まれば8人が喫煙者だった。ところが、1990年頃には10人で喫煙者は2人になっていた。
先ずは引用ばかりだが、下記のデータを見れば未来が見える。
1. 喫煙者率
2017年5月現在の全国の喫煙者率は次のとおりです。
     2016年   2017年  対前年増減(%ポイント)
男性   29.7%   28.2%   -1.5ppt
女性    9.7%    9.0%   -0.7ppt
男女計  19.3%   18.2%   -1.1ppt
2. 喫煙人口(推計値)
喫煙者率から全国の喫煙人口を推計すると次のとおりです。
      2016年   2017年    対前年増減
男性   1,498万人  1,426万人   -72万人
女性    528万人   491万人   -37万人
男女計  2,027万人  1,917万人   -110万人
成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)
 たばこ産業の「2017年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は28.2%でした。 これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、50年間で55ポイント減少したことになります。 年代別にみると、急激な喫煙率の減少傾向が見られる60歳以上は21.2%ですが、30歳代から50歳代はまだ35%前後を推移しており、一番高い年代は40歳代で36.7%でした。

 飲食店にとって未来のない法案?

大規模飲食店でも煙がもれないようにして排煙設備を設ければ喫煙室を設けても良いとなると全面禁煙にはできないだろう。喫煙者の顔を立てるには余計で無駄な投資をして喫煙室を用意することになりそうだ。
小規模飲食店は禁煙にする勇気など持てず、多くはこれまで通りの営業になることだろう。結局、大規模飲食店に未来のない出費をさせただけで、飲食店の健康に対する状況は何も変わらない。

そうでなくても人手が足りず、外国人就学性や留学生に頼ることになり、彼らは日本で受動喫煙させられることになる。日本人アルバイトはいよいよ飲食店に応募もしなくなる。むしろ、弱い立場の人は受動喫煙を承知で仕事をするようになる。

前の数字をみると、単純計算でいけば20年後には喫煙者はほぼいなくなる。むしろ2017年には喫煙者が18.2%で前年比-1.1ポイントならば20年どころか16年半で達成できる。
もちろん単純計算では無理な話は承知しているが、大きな差は出ないように思って当然ではないか。

全ての飲食店を例外なく禁煙にすること。

これが一番わかりやすく、簡単で、金がかからない。
新規出店は禁煙などとするともめるだけ。タバコの嫌な人は古い店舗からタバコ臭くない新しい方へ流れるだろう。
簡単に変えられないこと以外は条件を同じくして競わせることだ。
おそらく黙っていても、そのうちには禁煙にしなければ若い世代のお客様は来てくれなくなる。20%にも満たぬ人の好みに合わせることの特殊性を普通に考えれば、未来の飲食店の姿は決定している。
却って、時代おくれを認めて例外を設けるなら「タバコを吸わない人はお断り」として、従業員も承知の上で雇用した店のみを喫煙可能店とする方がいくらか理に適ってないか?いや、これでは健康増進法にならない。
もっとも、タバコを吸ってもらわなくては困る人たちが議論しているのではやむを得ないか?

 飲食店の淘汰

現在の大都市の飲食店(特に居酒屋)は過剰に立ち並び、傾向としては安さを競い、従業員も満足に揃えられず、また人件費にも経費を回す余裕はなく、ほとんどがアップアップではないかと想像する。放っておいても、いずれは少し間違えたところから順に淘汰される。

全面禁煙か、喫煙を認めるかという判断は大きな経営判断になる。メニューを安くすることよりも、生き残ることに重要な選択になると私は信じている。1年後さえ見えない飲食店の未来でも、喫煙者が減ることだけは保証されている。どういう方向に舵を切るかが、今後の大きな転換に繋がりそうに私は思えて仕方ない。だからこそ、国で一括して飲食店は「禁煙」と決めることが最も必要なことなのだ。