上諏訪 あら磯・酔水屋

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 上諏訪・あら磯

上諏訪春の呑みあるきに参加した夜。
昼の美味しいお酒だけで引き下がるはずもなく、宿で少し酔いを覚ました後、地元の美味しいものを求めて徘徊です。むしろお酒と言うよりも食材というか名産というかを、看板や黒板を見ながら物色するように探します。

もちろん大手のチェーン店には目もくれず、お寿司屋さんも眼中になく、地元の人たちが行きつけているに違いない雰囲気を醸し出す店が理想ですが、なかなかどうして簡単には見つかりません。途中で見た「酔水屋」という店にもかなり興味を覚えたにもかかわらず、どことなくスナック寄りに見えてしまい通り過ぎました。

そうしているうちにビルの中の小さな通路を入ったところに「炉端焼き」と謳っている店があり、そこに決めることになりましたが、まさか本当の意味での路端を期待していないのが不思議。すでにどこでも看板にはあっても実際にお客様の目の前に路端がないのは現実です。

果たせるかな、カウンターはあるものの当たり前の居酒屋の造りでした。しかし、もとよりこれに不満があるわけもなくテーブルに付くと、真ん中に鍋や網をセットできるような造りになっていて、「まさしく路端だ!」と勝手に納得したのです。

そう言っても、目の前で何かを煮たり焼いたりの気分でないのが正直なところで、先ずは生ビールで一息ついてメニューをゆっくりと拝見。そこで思いついたのが「イノシシの生姜焼き」?だったかな、です。

地元の名産や名物と言って良いのかどうかはともかく、関東周辺の地方に行くと、駆除されたイノシシや鹿が飲食店の看板やメニューに載っているのは珍しくありません。道の駅では冷凍で土産物にもなっているくらいです。
こちらの「あら磯」さんではこれをいただくことにいて聞きました。
「眼の前で自分で焼くことになるんですか?」
「いいえ、焼いてから提供します。」の答えを聞いて安心。
脂が美味しく、旨味もしっかりとしたイノシシで、満足満足。
結局は、先ほどの店が気になって、こちらは1時間足らずでお暇することになりました。

 酔水屋(よいみや)

酔水屋という名前の店の扉を開けると、意外に家庭的な雰囲気のお店でした。左手に8席ほどのカウンターと右手には2卓の小上がり。カウンターの上には大皿で料理が数点並んでいます。ひと目でママさんの温かさが伝わってきて、グッと落ち着いた気分になりました。

ちょうど空いていたカウンター席に腰掛けると、新たな楽しみを選ぶことになります。最初の飲み物を注文すると、次は目の前の大皿料理に順に目が行きます。

「諏訪湖と言えば、ワカサギだね、この唐揚げをください」
その横にあるピリ辛のシラタキもお願いし、カレイの煮付けがまた美味しそうに待っています。
それにしても、ワカサギもシラタキも小鉢に少しではなく、中鉢にたっぷり。量に圧倒されながら、ママさんとサワーの梅干しの話になると、
「こっちでは梅干しじゃないのよ。梅漬け。」
そう言って小さく刻んだ自家製の梅漬けを「食べてみて」と出してくれました。

カリカリと酒の肴にも相性がよくてたまりません。

この辺で熱燗をお願いすることにしましたが、高天(こうてん=諏訪湖の北寄り岡谷の地酒)を温めてくれました。昼間は上諏訪のお酒を満喫しましたので、ここでは改めて高天をいただけることになり、いよいよ大満足です。
しかも、昼の立呑みと違って、ゆっくりと腰を腰を下ろして。

ここからは飲み過ぎ注意!そう自分を戒めることが大切ですが、聞き分けがあるとも思えず心配です。

ママさんと話していると、ママさんの生まれ育った場所が、東京の今の私の住まいと最寄り駅が同じですぐ近く。古くからある駅前の玩具屋さんの話しなどしばらくはローカルな話題で盛り上がってしまいました。
高天のスッキリとした味わいとママさんの人柄に酔ってしまった上諏訪の夜でした。
カレイの煮付けの味も忘れられません。
旨かったなあ!ご馳走さまでした。