神田ではしご酒

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  いつもの鶴亀からスタート

「神田で飲みたい」という酒好きの女性の提案を受けた友人から誘いが来ました。

神田ではしご酒をしようというのです。悪魔のような誘いに迂闊にものってしまった私には、同じなら古い居酒屋を回ろうという計画しか浮かびませんでした。

平日、火曜日の16時集合です。
手始めはいつもの鶴亀さん。17時過ぎには入れなくなることもあるために先ずはここからです。最初は瓶ビールにしようと注文すると、「キリン?アサヒ?サッポロ?」とお姉さんが聞き返してくれます。この3種を置いているというのも、むしろ新鮮です。私は他のメンバーの意見もきかず「サッポロ!」と言っていました。ここで登場したのはお馴染みの黒ラベル。

因みに、サッポロビールのホームページによると、黒ラベルは1977年誕生で、昨年が40周年だったそうです。全く知りませんでした。

料理は前回にここで初めて注文したメニューを再びテーブルに並べます。
チーズレタス
ざっくりと手で千切ったレタスをこんもりとお皿に乗せ、周りに三角のプロセスチーズが6枚。横にマヨネーズがたっぷり。写真を撮り忘れましたが、こんなメニューは考えたこともありません。気取りも何もなく至ってシンプル。ところが、これが相性よく旨い。冷静に考えれば食パンを抜いたサンドイッチなので、ビールには合うに決まっています。しかし、こんな料理?を堂々とメニューにするところが鶴亀さんの潔さであり、強さ。
他のテーブル席やカウンターにもこのチーズレタスは当たり前のように乗っているところが凄い。
もう一つ、説明するのも憚られるほどの名品「自家製ピーナツ」。

これは見た目は普通なれど他では先ず味わえない、しかも絶対に癖になる魔法のピーナツです。作り方を聞くと、「機械で作る」というさも当然の答えが深くて堪らないのです。さらにこれが250円だから困ったもの。

ビールの後は新潟の地酒「鶴亀」、三重の「作(ざく)」をいただきました。今日ははしご酒ですから、程々にして店を出たのはまだ明るいうちですが、既に出来上がっています。
それでも4人で十分に食べて飲んで〆て1万円。

 浜貞 ふぐ・活魚料理

2軒めは入れるかどうか心配しながら、浜貞さんへ向かいました。小さな店ですから4人で18時に入ることができればラッキーです。しかしこの日は運がいい。奥の小上がりに席は空いていました。

この店は本当か嘘か、「魚介類で生きてないのはマグロだけ」という話もある店です。カウンター席に腰掛ければ、古い魚屋さんの店先で飲んでいる気分になります。

酒は長野県の真澄、300mlボトル。
お通しは、私たちの顔を見てから揚げてくれたエビフライです。いちいち画像で記録する習慣がない私には、何を飲んで何を食べたかの記憶はかなり曖昧になってしまうので、確実なことだけを紹介します。

注文した料理での一番の驚きはホッキ貝の刺身。画像ではわかりにくく申し訳ありませんが、何しろホッキ貝の大きさに感動です。私も長く飲食の仕事をしていましたが、女性の掌ほどもあろうかという大きさのホッキ貝に出合ったのは何しろ初めてでした。

不確かながら穴子の白焼も食べた気がします。この浜貞さんでの〆はいつも決めています。しじみ汁です。お椀からしじみが零れ落ちそうなくらい入っていて、健康のためにという言い訳めいての〆です。
ここでも4人で1万円。店を出た時間にはさすがに暗くなっていて、しかも酔っぱらいとしても十分に出来上がっているというのに、もう一軒はしごです。

 味の笛 越後の地酒と別海(道東)の幸と

元祖立呑みと言ってもいいくらいの「味の笛」。
御徒町にある食品スーパー、吉池グループ経営のお店です。20時半頃でしたので、混み方はピークでした。しかし、この日は運がいい。デシャップカウンターの前の一番の場所に4人分の空間を確保できました。

ここでは新潟の〆張鶴を飲んだことは確かに覚えています。ただ、他に何を飲んだかはさっぱり覚えていません。料理も何を選んで運んできたかも定かでなく、情けないものです。

でも、隣で一人で飲んでいた方とも交流を持てたし、文句なしです。店を楽しみ、酒を楽しみ、その店ならではの料理を楽しむ。最後には完全な酔っぱらいを生み出すことになるのです。

今どきのおしゃれな店ではなく、まさに親父御用達の居酒屋をはしご酒。
この落ち着いた気分は何なのでしょう。
神田はまだまだ未知の世界が潜んでいるよ
うに思えてなりません。