販売促進 サービス券の有効な使い方

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 手軽な販促

飲食店と言っても、今回の話題の対象はほぼ居酒屋。

どの居酒屋も競合店との差別化や来店動機に販売促進を恒常的に考えるケースが多々あります。ここではそこに至る本質の議論は置いて、目に見える現実の話としますので、参考になれば幸いです。

販促にはいくつもの種類があり、店頭に大きく「生ビール1杯無料」「18時までドリンク全て半額」など、堂々と、しかも大々的に恥ずかしげもなく看板にしている店もあります。
でも、これはよしたほうが良い、と私は常々思います。

大袈裟に言えば、「この店は暇ですよ、お客さんは通常価格では来てくれないですよ、サービスや品質から考えると、結局は高いと感じる店ですよ」と自ら宣言しているようなものです。だから私は、こんな看板を見ると、絶対にその店には入りません。

販売促進と言うと、すぐに何か安くすることとイメージする人の方が多いのも事実で、またそれが世の中で当たり前のように存在しているのも確か。

以前に私が仕事をしていた大型チェーン居酒屋の社長は、それを徹底して嫌いました。エリア長などが不振店の対策にそんな提案をしようものなら、即座に叱りつけられるのが常で、そして私もそれには同感でした。私はへそ曲がりのせいか、それなら最初からメニュー価格を下げて営業すればいいだろ!と考えてしまいます。

しかし、居酒屋は開店に際して自分のサービスや品質の自信を元に商品価格を決めるのが真っ当なやり方で、その価格で販売してお客様に満足してもらうのがスタート。価格を下げて売ることなど本来、出来るわけがないのです。
従って、こんなことは常識として販促を考えるのが基本なのは明らかなのです。

 よく見るサービス券配布

店舗によってはサービス券を用意して、会計時に再来店を促すように配布する姿はよく見かけます。店長が手書きにしたもののコピーから会社が本格的に作ったものまで、様々です。内容は殆どが「ドリンク1杯無料」といったものばかりではありますが、次回来店につながるとしたら何らかの効果はあるかも知れませんので、私はこれを否定するつもりはありません。再来店への効果は、そんなものよりももっと他に重要な事があるのは確かですが。

もう一つは、近頃減ったとはいえ、街頭でこのサービス券を配ることがあります。駅前だったり、店近くの道路の角だったり、わざわざ人を出しての熱心さです。最近ではサービス券を用意せず、メニューを持って街頭に立たせることの方が多いようです。
果たしてどれほどの効果があるのかはわかりませんが、街頭でサービス券を配布して、それを回収できる確率は0.5%あれば良い方だという渋谷センター街での統計結果がありました。記憶違いで0.2%だったかも知れません。今はネットを利用してのクーポンが主流でしょうが、それも安売りすることには変わりありませんし、サービス券の印刷代の代わりに掲載料がかなり掛かることも覚悟が必要でしょう。

 サービス券の有効な使い方

ネットで手に入るクーポンも含めて、店舗が配布するサービス券の有効な使い方を提案します。クーポンでは経験がないのですが、おそらく同じように使えるはずですので、工夫をしてもらえばいいと考えています。
印刷や掲載の経費をかけず、もちろん配布するための人件費も一切かけない方法ですので、誰でも簡単に試すことができます。

答えは「他店のサービス券を利用しろ」ということです。

常連のお客様が「そこで配ってたんだけど、この券使える?」などと言って、他店のサービス券を持ってきたことはありませんか?私は何度も経験しました。もちろんお客様は冗談のつもりで、お互いに笑い話になればいいだけのやり取りです。

しかし、ここがポイントです。
「わあ、ありがとうございます、ビールでいいですか?今すぐお持ちします!」と答えてみてください。
「えっ?いいの?」と言ってくれますので、「もちろんです」と言って、券は1枚でもドリンクは人数分すぐに提供してあげてください。
「店長、悪いなあ、冗談だったのに」との返事を貰えば成功。その冗談に付き合ってあげてください。
「だって、その店に行かないでうちに来てくれたんでしょ!」
これで十分です。お客様はわかってくれます。
初めてのお客様にもこの手はしっかりと使えます。

こういう対応をしたお客様は自分の店からは離れなくなります。そして、そのお客様がもう一度同じように他店のサービス券を持ってくるとしたら、必ず誰か他の人を連れてきてくれる時ですので、当然に同様の対応をしてあげてください。面白がって誰かに自分の店を紹介してくれるのですからしめたものです。常連の方は毎度毎度そんなものを利用することはありませんので安心してくだいさい。
他の店が、その店の経費で印刷したサービス券を、人件費まで負担して私の店のために配ってくれていると考えればいかがですか?こんな手軽で効率の良いサービス券の使い方があるでしょうか?
これは私が実行した実際の経験です。
もしもこの手を使って、上司に咎められるような店であなたが仕事をされているとしたら、将来を不安に思った方が良いように私は感じます。
余計なお世話!でした。