庄や岡山西口店の地酒

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  駅周辺の商店街

岡山駅周辺でも東口は賑わいがあるものの、西口となると深閑とした様が否めない。駅近くにアーケードが長く続く奉還町商店街も人通りは閑散とし、閉まったままのシャッターが目立つ。
何しろ昼に歩いた東口にある岡山駅前商店街でさえ飲食店が増えたせいもあるのだろう、昼とはいえシャッター街の商店街だった。その中でも唯一目立ったのが、通りの真ん中に大きく吊るされた「嘉美心」という地元岡山の地酒の垂れ幕。しかしこれも何だか孤立してしまった感が残念ながらありすぎる。どこの商店街も物販店が減り、成功のあてもない飲食店に様変わりする商店街ばかりが増えてきた。

ところがそれは既に商店街とは呼べない。中途半端な飲食店街でしかなく、ランチタイムでは採算が見込めないために昼間はシャッターが降り、活気のない昼のそんな街に人は寄り付かなくなる。

ここ2~3年に立ち寄った地方の中小都市はどこも同じ様相で、かつては活気があったんだろうという面影だけが残っている。
街の中心に巨大ショッピングモールがはびこり、すべてのエネルギーがそこに集約された後、四肢の末端から順に枯れていくようだ。やがて人口が減り巨大ショッピングモールそのものがお互いを食い合って共倒れとなる。
まさに誰でもが書けるシナリオのようにお決まりのコースを歩んでいる。
地方創生という言葉が「虚言」になるのも近そうに思えて仕方ない。

 庄や岡山西口店

そんな岡山出張の2日めの夜、地元の知り合いと会う約束を取り付け、岡山駅西口で約束をした。特別に知った店があるわけでもないということで「庄や岡山西口店」へ。
細かいことはここでは忘れて、楽しむのは当然に岡山の地酒でなければ面白くもない。しかしその前に、近頃岡山の名産として定着してきた「黄ニラ」の料理を注文しておこう。「黄ニラと豚肉の卵とじ」をここでもメニュー化していた。昨夜、アチコチの店舗の前でおすすめメニューなどを確認した際に、どこもかしこもみんなこのメニューを張り出していたので、いよいよ今夜はこれにすることにした。

 喜平本醸造

自分の名前をひっくり返して銘柄にするという発想はベタではあっても、このネーミングはかなりに上手い。口にした時の響きもいいし、飲む前から喜ばしいのは酒飲みとしてはありがたい。飲む理由の一つにしてしまうこともあり得る。

喜平本醸造酒
・ 原料米:  岡山県産米・あけぼの100%
・ 精米歩合: 65%
・ アルコール度: 15~16度未満
・ 日本酒度: +2
・ 酸 度:  1.4
・ 価 格:  1,955円(税込)/1.8L ~蔵元ホームページより~
最近では岡山の飲食店で多く取り上げられていて、普通に飲める岡山の酒になってきているよう。実際に特別な癖もなく、言い換えれば強烈な個性はなく、飲み飽きしないお酒としては申し分なし。
決して淡麗辛口ではなく、旨味をしっかりと湛えたバランスの良い作りになっていて、米のお酒というのがよく分かる、米の味を引き出した感じが強い。
実はこの喜平、平喜酒造は「新婚」という銘柄が看板だった。こうして新ブランドを立ち上げて、新しい立ち位置を求めて酒造りをしてきたんだろうと思う。これからのさらなる活躍に期待したい。

 燦然特別純米酒・雄町

雄町の持つ幅のある旨みを引き出した飲み飽きしない純米酒。冷や・ぬる酒でお楽しみください。

燦然特別純米酒・雄町
・ 原料米:  岡山県産・雄町
・ 精米歩合: 65%
・ アルコール度: 15.5%
・ 価 格:  2,700円(税込)/1.8L
心地よい吟醸香を含んで穏やかな味わいになっている。価格とのバランスはどうか?というところ。
蔵の紹介としては:
特定名称酒の売上比率が90%以上、(大)吟醸・純米(大)吟醸の比率も50%以上と、比較的高価な清酒の比率が高い
とあるので、蔵全体が高額商品にシフトしているのかも知れないが、そうなり過ぎても寂しい。

店のアルバイトの学生と思しき男性はまだ入店して間がないのか、ややぎこちなく、地酒をグラスに注ぐ手元が硬い。しかし、そこが微笑ましく見ているこちらまでが和んでしまう。

地元で造った酒を地元の店で扱い、地元の若者が売り、グラスに注いで提供する。この連鎖が続けばまだまだ日本酒も生活の中に溶け込んでいけそうな気がする。