しまねの地酒フェア2018in東京 その2

 玉櫻

こちらのブースで一番に目についたのが「殿(しんがり)」。名前の面白さに、先ずはいただいてみることに。すると、ぬるめの燗で注いでくれました。

やや軽めで、スイッと入っていきます。そこで名前の由来を伺ってみると、コレまた面白い。

玉櫻 純米殿(しんがり)
・ 使用米 :五百万石
・ 精米歩合:80%
・ 日本酒度:+9
・ 酸 度 :1.5
・ AL度  : 13%
・ 酵母  :701号
「長い時間お酒を飲んでいて、コレが最後という時に飲むためのお酒」
そんなコンセプトで造っだそうです。そのためにアルコール度を13%にして、楽に飲めるようにしたとか。
蔵元のホームページにはその謂れが詳しく出ているのでそちらを御覧ください。
宴会の最後辺りで活躍するお酒になれば良いなと思い、殿(しんがり)と名付けました。(中略)殿を飲んで終わりにしようと思ったんだけど、なかなか終われない。と言われるのが一番嬉しかったりします。

 

純米とろとろにごり酒
・ 精米歩合:  70%
・ AL度  : 15%
こちらもぬる燗で飲ませてくれました。最近の多くの試飲会でにごり酒の燗を試させてくれます。かつては「にごり酒を温めて飲むなんて」という風潮もあり、冷蔵庫でしっかりと冷やしたものを提供するのが常識のようでした。しかし、今では違ってきています。
醪のたっぷり入った甘酸っぱい純米のにごり酒です。
毎年、造りの始めに仕込む一号醪のお酒で、酒造りが始まったなあという気にさせてくれます。
ホームページにもこうあるように、醪(もろみ)がたっぷり入って、とろとろです。1~3月は火入れしないで炭酸の味けるような生酒で出荷するそうですから、それも飲んでみたいものですが、さすがに燗でない方がいいことでしょう。

 誉池月

今回の出品は無濾過生原酒のオンパレード。いつものように私は純米大吟醸には目もくれず、純米の方ばかりを見ていました。
誉池月 純米五百万石無濾過生原酒
・ 使用米 :島根県邑智郡邑南町産 五百万石
・ 精米歩合:60%
・ 日本酒度:±0
・ 酸 度 :1.4
・ AL度  : 16~17度未満
・ 酵 母 :協会1801号
・ 価 格 :2,940円(税込)/1800ml
卓上の説明書きには「芳醇甘口」とあるだけに確かに甘く広がります。このトロ~リ感は無濾過生だからでしょう。日本酒度の表示の±0よりは口当たりは甘く感じます。しかし、芳醇甘口という表現そのもので決して甘ったるくはありません。酸のたち加減がうまく絡み合って全体を引き締めているのがわかります。

  

誉池月 純米八反錦無濾過生原酒
・ 使用米 :広島県三次市産 八反錦
・ 精米歩合:65%
・ 日本酒度:+10
・ 酸 度 :1.8
・ AL度  : 17~18度未満
・ 酵 母 :協会701号
・ 価 格 :2,748円(税込)/1800ml
「+10だけど甘味を感じるんですよ」と言われて興味津々。酸度も1.8と高く間違いなく辛口のお酒なのですが、米の旨味から来る甘味が旨味となって芯にしっかりと残って、穏やかささえ感じる不思議なお酒です。
個人的に、これは好きだなあ!酒を楽しむための酒という気がしないでもなく、どんな料理に合わせようかと迷ってしまいますが、ヤワな料理では負けてしまいそうです。鶏とキノコたっぷりに新ゴボウを加えて、生姜を効かせた鍋物なんかはどんなもんでしょう…

 開春

以前は私のいた店にも常に置いていた開春。その頃にも質の高いお酒を常に造っていました。そして今では更に個性的に味わい深くに品揃えしていて、今回出品していたのはある意味かなりマニアックな印象が強かったのですが、私にはこれが堪らない。
開春 山口三年熟成26BY(平成26年酒造年度)
三年熟成で熟成感はほどほど。むしろ古酒というほどでないところがこの酒の魅力。

開春 イ宛(おん)
山田錦の精米歩合90%がこの酒の特徴。しかも生酛造りで酵母は蔵付き酵母ですから添加なし。
さらに木桶仕込みと正に昔ながらの造りですから、「隠岐誉」さんで紹介したのと同じく、かなり大変な手間隙がかかるのでしょう。
・ アルコール度:17%
・ 日本酒度  :+4
・ 酸  度  :2.8
まだ90%精米の生酛造りを試したことのない方は、機会があれば一度挑戦してください。
開春 生酛山口(24BY)
普通の顔して並んでいるのに、さり気なく24BYとは心憎い。
山田錦65%精米の生酛造りの純米原酒です。
・ アルコール度:17.5%
・ 日本酒度  :+6
・ 酸  度  :2.0
これが2,800円(税込)/1800ml。これでいいのかなあと言うほどの奇跡的なお酒です。ぬる燗にしてじっくりと腰を落ち着けていただきたい思いで一杯になります。
この3種を見ただけで、失礼ながら開春というお酒の異質感が伝わってくるのですが、皆さんはいかがでしょうか?
※ 酒造年度(BY=Brewery Year)
以下、月桂冠さんのホームページより得たこと:
酒造年度は1896年より10月1日~と定められていたそうですが、1965年から酒税法によって7月1日~6月30日と変更して決められたそうです。そして、1978年から日本酒造組合中央会が10月1日を「日本酒の日」としたそうです。今では日本酒の日に合わせて各種のイベントが行なわれるようになりました。