しまねの地酒フェア2018in東京 その3

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 石見銀山

テーブルの端に可愛いミニ樽を置いていました。
聞くと、通年扱っているそうです。こんな樽を店のカウンターの隅にそっとおいてある居酒屋であれば、遊び心も含めて酒飲みのシーン演出を楽しく作り出してくれそうです。
石見銀山 特別純米 幻の酒米「改良八反流」
今回、石見銀山で一番に勧めてもらったのがコレ!
テーブルの説明書きにはこうありました。
かつて島根県内で作られていた栽培の難しい米「八反流」。いつしかその難しさから自然消滅してしまったこの幻の米を改良し、地元こだわった農家さんにより復活!
・ アルコール度:16度
・ 精米歩合  :60%
・ 価  格  :2,614円/1.8L
ホームページには:
「芳醇な香りと、コクのある味わいが特徴です。」とあり、
改良八反流についても蔵元HPに詳しく記載されています。
地元の米を愛して他ではできない酒造りをしようと努力する姿は頭が下がります。どこの酒蔵もみんなこうして自分のオリジナリティも大切にしながら、日本酒そのものの普及にも精一杯の力を出しています。
私が地酒に魅入られた30数年前から比べると、酒造りの技術も格段に進歩というより進化しているように感じます。その昔はこの味でこの価格はなあ…と一般普及の酒で悩んだものも少なくなかった覚えがありますが、近頃でそんな経験はありません。

確かに高額な酒については別途の考え方になるのでしょうから、それに口出しするつもりは毛頭ありません。

かねてから、「自宅に気軽に買って帰れるお酒」を大切にして欲しい気持ちが強い私は、1.8Lで2,300円(税別)を境目にしたお酒にいつも注目しています。もっと言えば2,000円以下のお酒に。
四合瓶で2,000円のお酒となると、自分で購入し自宅で気軽に飲める人がどれほどいるのでしょう。

 ヤマサン正宗

こちらも精米歩合90%のお酒を出品していました。

ヤマサン正宗純米生原酒精米90
・ 原料米  :島根県産五百万石100%
・ 精米歩合 :90%
・ アルコール度:19度
・ 日本酒度 :+5.0
・ 価  格 :2,400円/1.8L
テーブルの説明書きは
食べるお米と同じく1割だけ削ったお米で造りました。濃厚で独特の味わいをどうぞ。
他のお酒も出品しているのに、精米90%に限定するかのように紹介している点はご容赦ください。参加蔵19社で3社が90%精米の酒造りをしているとは驚きです。
島根県恐るべし。さすがに日本酒発祥の地を名乗るだけのことあり、チャレンジ精神も先駆なのでしょう。

 十旭日(じゅうじあさひ)

旭日酒造有限会社
島根県出雲市の酒蔵です。
ホームページは2012年から更新されてないようなのでアドレスは記載しません。
十旭日純米酒ひやおろし
・ 使用米 :五百万石(島根県産)
・ 精米歩合: 70%
・ 使用酵母:協会701号
・ アルコール分:16度~17度未満
・ 日本酒度:+6
・ 酸 度 :1.9
・ 価 格 :2,916円(税込)/1.8L
ひやおろしを楽しめるのは今だけ。10月には既に品切れという蔵元も珍しくないほどに「ひやおろし」を発売する酒蔵が増えて、我々日本酒ファンには嬉しい限りです。最近の試飲会で聞くと、ほとんどの酒蔵でひやおろしを発売しています。10年前にはこれほどひやおろしは注目されていませんでしたので、格段の方針転換です。
悪く言えば、とりあえず置いといてみるか、というところから始められるはずで、取り組みの難しさはないに違いありません。であれば、世間で注目されつつある季節限定酒は出して見るに損はありませんから、これはいい傾向と私は思っています。
生酛純米十旭日・五百万石精米70%
これは多くを語るつもりはないのです。ささやかな表示で27BYとあるのがとにかく気になったのです。
生酛純米の27BYとは?? 好きかどうかはともかく、これだけで魅力ではありませんか!
・ アルコール:15度
・ 日本酒度 :+10
・ 酸  度 :1.9

島根の酒とはいったいどんな位置づけにいるのか?どう見ても淡麗辛口という、一般に一番受けると思われている場所にはいないことは間違いないのです。しかも、どの酒蔵のブースを訪ねても、「島根の味」がする、とこの日の同行した友人は言うのです。そんな言い方が正しいかどうかは判断を任せるとしても、島根の酒のイメージはハッキリと統一されているように思えます。

「しまねの地酒フェア」の実力は他と比較しても無意味でしょうが、会場にあふれるほどに人が集まることが証明していることに他ならず、酒造りに対しての必然の流れを生み出しているということです。
今現在の日本酒の将来に向けての傾向は、必ずしも淡麗辛口ではない、これだけは確信できると私は自分に言い聞かせています。
続く…