たかの井 山廃純米吟醸生原酒

 日本酒の多様化

どんな日本酒もラベルと言い、名称と言い、封を開ける前に思い描くイメージが生まれる。もちろん造り手側も自分たちの意識する商品のイメージをラベルや名称に託して載せてくるに違いない。
若い頃に、蔵元は何処だ?辛さはどうだ?と言いながら伝え聞く固定観念に私がこだわった時代から40年が経過している。
その間に酒造りの技術は格段に進化し、好みも多様化し、いっとき肩で風を切るように大手を振って歩いていた、香りの華やかさばかりが目立つ酒は影を潜めてきた。

そんな香り至上主義のような期間、私は吟醸酒の集まりには全く興味を失い、参加することはなくなった。しかし、時代は今、変わってきている。
8割や8割5分精米の酒までが珍しくなく並び始め、多様化は行き着くところを知らないようだ。だからこそ、吟醸と名乗る酒の在り方や飲み手の捉え方も変わってきている。香りの華やかさだけが価値のように言われた時代は終わっている。

50~60%に砥いた米だからこそ引き出せる綺麗な味わいは、必ずしも華やかな吟醸香につながらなくて良いことを多くの人たちが知るようになった。
地酒ブームの中で、日本酒は次の時代に入ってきた。

 たかの井 山廃純米吟醸生原酒

さてこの酒、たかの井 山廃純米吟醸生原酒。
新潟の酒蔵、高の井酒造株式会社。
山廃と言う割に意外なほど酸を意識させない。穏やかな香りは吟醸香と米の香りが混ざり合い、微かにパイナップルのような香りが静かに横たわって旨味を引き出してくれている。決して甘くはないが、辛さもほとんど主張しない。ボトルの見た目の姿とは違い、そこから来るイメージ以上に飲み飽きしない。
どうやら限定1000本の発売らしい。
数値は公表されていないため、私の感じるままであれば日本酒度は+2、酸度は1.7と言ったところだろうか。

だがすでに、私にとってそんな数値は何の意味もなさない。
生原酒の力強さよりも全体のまろやかさが馴染んで私の中に広がってくる。
これは瓶詰め後すぐに友人が送ってくれたのに、私が冷蔵庫に半年寝かせたためかも知れない。
こうして飲んでみて、改めて蔵元の心意気を見た思いがある。
それぞれの酒の持つ色合いはそれほどに環境の中で左右されることは仕方ない。理屈はともあれ、旨いんだからそれで良いではないか!改めてそう思う酒である。

・ 使用米   : 越淡麗
・ アルコール度: 17
・ 精米歩合  : 55%

コメント

  1. オブさん より:

    出来立ての生酒のフレッシュな味わいが嬉しいのは当たり前ですが、生酒を一定期間寝かせた、マイルドな味わいが増したのも美味しいですよね😉🍶