駿河屋賀兵衛の地酒 その2

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 記録のない記憶

私の横着から駿河屋賀兵衛さんを訪ねて3ヶ月が経過して紹介しているため、このときいただいた折角の塩辛の名称を正確に思い出せない。
情けないもので写真は1枚しかなく、それほどに塩辛の記憶は曖昧だ。
その変わり、忘れないようにと写真に収めた地酒はハッキリとデータで残っている。そしてそれを見ながら思えば、その時の記憶もいくらか蘇ってくるのだから、酒には頓着が違うようだ。

若い時分ならともかく今では記録のない記憶は当てにならない。
だからこそ、出かけた先での酒は店の人に断ってできるだけ画像に残すようにしているのだが、飲み始めてしまえば撮影することさえも忘れてしまう。
我ながら厄介なものだと愛想を尽かす始末だ。
だから言い訳にはなるが、地酒の紹介に際して味の印象を細かく語ることは避けるようにしていて、可能な限りその酒の数字などのデータを記載することで、想像していただければ幸いだと考えている。

 駿河屋賀兵衛さんの塩辛

画像の商品名は失念した

駿河屋賀兵衛さんには本当に沢山の種類の塩辛がある。
塩辛の定義も含めて楽しみながらメニューを眺めるだけで喉を鳴らしてしまいそうだ。
ホームページをリンクで紹介するので、詳しくはそちらで確認して欲しい。

駿河屋賀兵衛 塩辛一覧
いか、たこ、えび、まぐろ、かつお、貝、いくら、真鯛、ほや、ズワイガニ、生しらす、さば…

ここに地酒が絡んでくるのだから日本酒好きが喜ばないわけがない。
しかも「その1」で紹介したように、酒への気遣いも丁寧で、酒呑み心を刺激してくれるから堪らない。
体に良い飲み方ができるかどうかは自分次第ではあるのだが、店はしっかりとチェイサー(和らぎ水)を共に用意してくれる。
あとはまさに自己責任というところだ。

中でも鯖塩辛は島根県で古来より保存食として作られていたのが有名なようで、春先の脂が乗ってない食べるにも向かない小ぶりの鯖を使っていたそうだ。
調味料としての役割も担っていたというから、地元には定着していたのだろう。
駿河屋賀兵衛さんがそれと同じ作り方かどうかまではわからないところではあるが、酒盗のような味わいだったことは覚えている。

 2番手は兵庫の酒

都美人酒蔵株式会社の酒。
兵庫県の南あわじ市(淡路島)の酒蔵だ。
2番手はこちらにしよう。
燗酒で飲みたい思いから「山廃」を選ぶことになった。

店のマスターには「ぐい呑はこのままでいいよ」と伝えたところ、「新しくお持ちします」の返事。
「美味しく飲んで頂きたいので」と柔らかい笑顔で付け加えてくれた。

都美人山廃純米 桃ラベル
酒蔵のホームページにこの酒に関しての詳しい情報がなく、そちらを参考にお伝えすることができない。
都美人酒蔵株式会社

そこで、「佐野屋 – JIZAKE.com」さんのホームページから少し教えてもらったのでそちらを紹介する。
佐野屋 – JIZAKE

「都美人」の3本柱は山廃純米の3商品。
1つ目は山田錦の紺ラベル。
2つ目は五百万石の茶ラベル。
そして、3つ目がヒノヒカリの桃ラベルです。
-中略-
桃ラベルにはもう1つ特徴があります。それは、加水によってアルコール度数が14度と低く抑えられているということ。
弊社のラインナップでも高いアルコール度数の無濾過生原酒は多数ございます。しかし、意外なことに、そのお酒の造り手さんはアルコール度数の高い原酒がお好きで無い方が多いんです(笑)
私が仲良くして頂いている造り手さん達も終盤は必ずと言って良い程、加水火入れのお燗か、原酒の割り水燗です。-中略- 
特にお燗で飲むと良さが顕著に表れます。

これは大変興味深い話だ。
そしてやはり燗に向いている。
自分で飲んでみてまたそう思う。
この酒もまた燗が心地良い。
アルコールはやや低めでも2.5という酸度の高さがしっかりとした芯になっていて、加水しても味は崩れていない。
ここの駿河屋賀兵衛さん、随分と楽しませてくれる。
心地よさも手伝って、まだまだ帰れそうにない。

都美人山廃純米 桃ラベル

  • アルコール分 14~15度
  • 精米歩合   60%
  • 原料米    ヒノヒカリ100%(南あわじ産)
  • 使用酵母   きょうかい7号(泡あり)
  • 日本酒度   +4
  • 酸  度   2.5