暖簾の外の利き酒師のblog

2017しまねの地酒フェア 有楽町その3

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この記事の目次

 ヤマサン正宗

純米無濾過生原酒 精米90%
この名称を見ただけで、何だか曰く付きに思えます。精米歩合90%と言えば、食用米と同じくらいの精米歩合ですから、本来よく聞く酒造りの精米からは程遠く、果たしてどんな出来なのか試さざるを得ません。
正直なところあまり期待していませんでした。しかし、それは全く失礼な話で、わざわざ会場に持参されたということは自信のある証拠でした。もちろん雑味はあるのですが、嫌味なところはなく味の奥行きになっていて、知らなければ90%精米と思うわけがないですね。
現在のように当たり前に70%以上研いて造るようになったのは、せいぜい40年ほど前からではないでしょうか。貴重なお米をそんなに精米して捨てる部分を増やすなんて、あり得ない話だったと思います。
これは杜氏さんの、技の極みのひとつと言えるでしょう。職人さんとはすごいもんですね。驚きと感心と入り混じった出来栄えでした。

 出雲富士

出雲富士純米白ラベル
案内の札にはこうあります。
白く清らさに、上質で柔らかな旨味を優しく醸し出し、出汁を引き立たせる1回火入れの純米酒
この「出汁を引き立たせる」とはいいですね。この場で出汁の利いた煮物と一緒にいただけるとよくわかったことでしょう。しかも値段がまたいい。日常にいてくれるお酒です。こういう酒蔵はまた、随分とわかってくれているじゃないですか。

 開春

開春 生酛山口 白 7年熟成

  アルコール14%

開春 イ宛(おん) 生もと木桶仕込純米

こちらの開春も熟成酒と精米90%の2種があります。この90%はインパクトが強く、酸度2.7の力をドーンと感じます。酵母無添加とは、蔵付き酵母を時間を掛けて自然に取り込んで、昔ながらの造りをしたということですか?当日はそんなことはつゆ知らず、聞いてみることさえできませんでした。日本酒造りの懐の広さというか、現在では挑戦しなくても済むことに敢えて挑むとは、これも心意気ということですね。

 誉池月 池月酒造株式会社

純米大吟醸 本槽しぼり 無濾過生原酒
「出雲流杜氏 一冬入魂」という力強い冠の付いた酒です。
ここまでスペックを書いただけで、魅せられてしまう内容です。たまには飲んでみたいお酒です。
昔ながらの木槽でしぼった吟醸酒。(中略)華やかな香りと、まろやかな風海をお楽しみください。
番外編で、定番ではないと聞きました。一旦ぐっと閉じ込めた旨味が、口に含んだ瞬間、みごとに開いてきて、体に染み込むように入っていきます。もちろん普段飲みにできるようなレベルではありませんが、これが5,000円を切っていることに驚きです。
島根はすごいなあ…
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