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彦根で和む
滋賀県の琵琶湖の辺りで店を選ぶのに、鮮魚が看板でもしようがないなあという思いから、ここと決めた鶏居酒屋・炭井さん。「カゴ焼き」が看板料理のひとつ。
気さくなマスターと笑顔の素敵なスタッフの女性、そして丁寧なお母さん。
知り合いの家庭を訪ねている感覚でずいぶんと和みます。
ここを選んで良かった。
マスターは東京からのUターンで仕事をしているそうです。
東京では子供さんを育てるのに違和感があったようで、やはり自然に恵まれた地元の豊かさに心が動いたのでしょうね。私にもわかる気がします。
「でも、人はいないし、何もなくて…」と話していました。
「立派な彦根城があるじゃないですか。」と私が言うと、少し複雑な表情をしていたのが少し気がかりなところ。
ちょうど彦根東高校が甲子園に出場が決まり、初戦から登場する間際のことでしたので、彦根としてはアピールのチャンスなのですがね。
地元には地元の悩みがあるのでしょう。
そうしていると、注文のハツと皮のカゴ焼きが登場です。
炭で焼くと、若干の燻し加減も含めて香りのいい焼き物になります。これは名物としての存在感たっぷりで、やみつきになりそうです。
さすがに看板として謳っている「カゴ焼き」、見事です。
地酒にはこだわる
この炭井さん、地酒も楽しませてくれます。
誰でもがこの魅力に引き込まれる銘柄。
「人々の絆」純米・山田錦
マスターのこだわりで置いているお酒だと聞きました。
「琵琶の長寿」さんから発売されていて、限定での流通だそうです。このお店でこのお酒を試すことができたのは幸せでしたね。
マスターは先ほど複雑な表情でしたが、この琵琶湖畔の彦根の町には、きっとこの酒の銘柄同様に「人々の絆」があるはずです。
Uターンのマスター然り、私の周りにいる他の地元のお客様然り、このカウンターに居て背中に感じる空気と一緒に伝わってきます。
人が居酒屋を利用する時の目的は数多あると思います。しかし、たとえ初めての店でもそこには何かの縁があり、縁をつなぐ絆ができていきます。もう一度足を運びたいと思ってもらえる店造りこそが、本質であり、また簡単には果たせないことでしょう。
町は歴史が作るもではなく、そこに住む人々の思いや生活の基盤に連鎖して作られるものだと考えています。ここ「炭井」さんで料理やお酒に触れて、ついこんなことまで思いを馳せてしまいました。
彦根。
たくさんの歴史を背負い込みながら、歴史をみんな見てきた人たちの力は、地に根付きながら、守ってきた重さと一緒に今も息づいているに違いありません。
このお店に来て良かった。
鶏居酒屋・炭井。
もう一度来たいなあ。
改めて訪ねることができるでしょうか。
改めて訪ねることができるでしょうか。
ご馳走さまです。