日本酒を楽しむヒント

日本酒をより楽しんでいただくために、日本酒の豆知識として簡単にまとめました。言葉が足りないところなどもありますが、手短にということでご理解ください。いくらかでもお役に立てば幸いです。

 A 原材料による分類

 1) 普通酒

原材料:米、米麹、醸造用アルコール、醸造用糖類、酸味料、等
一時は三倍増醸酒(三増酒)とも言われ、水で割増しして原材料費を押さえ、儲けのみ
を考え、日本酒の評判をおとさせたこともあったが、今ではそこまでにすることはなく、比較的安価に販売できるよう、バランスを整えた酒。

 2) 本醸造酒

原材料:米、米麹、醸造用アルコール
精米歩合70%以下。米1トンに対してアルコールは120㍑以下の添加のみ可。 糖類も添加せず、アルコールは若干の味の調整と安定化のために加えているため優良な酒が多い。

 3) 純米酒

原材料:米、米麹
酒本来の造り方。原材料費もかかるが、米のうまみが生きている。しかし、2004年から「純米酒」の精米歩合規定(70%以下)が削除されたため、「純米酒」というだけでは、安心できない。

 B 造る過程、技術のレベルによる分類

 1) 生酒(なまざけ)

瓶詰めして出荷されるまでに、普通は2度火入れされ酵母の発酵を止めるが、全く火入れしない酒を「生酒」と言う。「本生」「活性酒」などとも言う。

* 1度目の火入れをしないで貯蔵し、2度めの火入れのみで出荷する「生貯造酒」
* 1度火入れをして貯蔵し、瓶詰めの時に2度めの火入れしないで出荷する「生詰酒」

 2) にごり酒

酒は最初出来上がった時は濁っているが、濾して(搾って)澱(おり)を沈殿させたりして澄んだ酒にする。澱を含んだ物を「にごり酒」、槽搾りの時に加圧しない自重のみで最初に出てくる白濁した部分が「あらばしり」、搾って残った物が「酒粕」。酒蔵が販売しても良い「清酒」とは清濁は関係なく、必ず搾ったもののみ。

 3) たる酒

酒を貯蔵する時の樽の木香がついた酒のこと。つきすぎると却ってまずくなる。

 4) 原酒

瓶詰めする前に、水やアルコールを加えて味を調整するのが普通だが、出来上がったままで加水などしていない物を「原酒」と言う。アルコール度数が20%ほどの物もある。

 5) 生一本(きいっぽん)

純米酒で原酒、さらに100%自家単一醸造所の酒であること。他の醸造元から酒を樽ごと買い付けて自家の酒に混ぜて出荷しているところがあるために、各蔵の実力を知ることが出来る。この条件の物以外は「生一本」とは名乗れない。

 6) 吟醸酒・純米吟醸酒

本醸造か純米であること。必ず酒造好適米(山田錦、五百万石など)を使用。
それを60%以下まで精米し、手造りで、長期間低温でじっくりと発酵させ、丹精を込めた自慢の酒。フルーツのような芳香が特徴で、辛口でも辛く感じさせない。今では技術が進み却って吟醸酒の方が簡単に造れるために、それぞれの差が見えにくくなってきている。中でもさらに50%以下にまで米を磨き上げて、造った酒が「大吟醸酒」「純米大吟醸酒」。

 7) 特別純米酒・特別本醸造酒

酒造好適米100% ではなく、普通食用米(ササニシキなど)を使用して、吟醸酒と同じ条件で造った場合や、実際は吟醸造りであっても、自社製の他の吟醸酒と区別し、やや格安に提供するためにこの名称をつけている場合がある。

いずれにしても、各メーカーの通常の「純米酒」「本醸造酒」よりも質を高めているものにこの「特別」名称をつけていることが多い。