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へのへのもへじ
今は「秀ちゃん」に屋号を変えています。
渋谷区笹塚駅の近くで、ずっと営業している地酒専門の居酒屋さんです。
今は地酒の種類を以前より絞ってやられています。
私が地酒を知るようになってから、よく通わせてもらいました。
ここのマスターが私の最初の 地酒の師匠です。
当時としてもかなり格安な料金で地酒を飲ませてくれましたが、提供の仕方や品揃え、地酒の楽しませ方までいろいろと勉強させてもらったつもりでいます。
本来、マスターは板前さんとして修行を積んだ人ですから、料理がまた気が利いています。
お酒に合う珍味はもちろん、地方の名物、季節の素材など、お酒と料理を一緒に楽しむ工夫が盛り沢山です。春先の今の時期なら、そろそろ「ノレソレ」をおすすめに並べている頃でしょうか。
カニ味噌、いぶりがっこ、ざざむし など、何と一緒に楽しむか、地酒の選択にアレコレと思いを広げたものです。この時初めて、地方の名物珍味が発揮する力を教えてもらったものです。
ここの「へのへのもへじ」があったお陰で、先程も言ったように「地酒と料理」の大切さを身にしみて実感したのが私のひとつの目覚めです。アルコールが苦手な人にはお気の毒ですが、この2つの相性こそが楽しみを倍増どころか、何倍にもしてくれるものだと実感しています。
気分を楽しむ
ここであまり難しくいう必要はなく、「楽しむ」という言葉が全てだと思います。
「気分」が大事だし、「遊び心」はなお大事ではないかと信じます。
利酒師的には「お酒と料理の味の相性」はあります。でも、そんなものは決して「気分」に勝てるものではありません。
気分よく楽しもうとすることが一番で、そこに「遊び心」が生まれます。
お酒と料理を楽しむことは理屈ではないでしょう。この料理にこのお酒を合わせてみようと「楽しむ」のは、そして「コレは合わないねえ!」と言いながら次を考えるのは「遊び心」です。理屈はあとから並べればいいことです。
眉間にしわを寄せるのは、より美味しくしようと料理の工夫に悩む職人さんに任せてしまいましょう。
「へのへのもへじ」、今は「秀ちゃん」のように、おいしい地酒と、「さあどうぞ!」と揃えてくれた料理メニューを前にして、私たちは自分の遊び心でチョイスしながら楽しもうではありませんか。
マスターにはいつまでも元気で、私たちに楽しみを提供してほしいと願います。