この記事の目次
昔話で終われば
千代田区麹町。地下鉄有楽町線の麹町駅を出て、新宿通りを歩いてみると様子も随分変わりました。
「麹町」の裏事情といえば、つい政界の裏事情と考えがちですが、私のことですから、「飲食店の裏事情」です。
麹町は典型的なビジネス街です。
私のいた店は四ツ谷方向に少し歩いたビルの地下一階にありました。同じフロアには更に奥にもう一軒、ビルのテナントとしては珍しく、いわゆる料亭が入っていました。
私のいた店では地酒とおでんが売りの店で、手に入りにくい銘柄も含めて地酒は当時としても、なかなかの品揃えだったと自負しています。
場所や構えの割には比較的リーズナブルな内容で、今で言えば4,000円ほどの客単価の25坪の店でした。
毎日、暖簾を出す17時前に玄関を出ると、隣の料亭に出勤する和服のお姉さんたちと顔を合わせることがよくありました。そちらは果たしていくら位の店かはわかりませんでしたが、一人2万円で上がるようなところではなかったでしょう。
料亭の裏事情
ビルの一階は大家さんの喫茶店があり、そのビルの裏にそれぞれ3店舗のゴミ置き場がありました。その頃は今のように契約したゴミ処理業者が毎日回収に来る時代ではなく、2日に一度道路の所定の場所に出していました。
世間のどこでも、ゴミを含めて、閉店後の店の玄関などを見ると、その店の様子が結構分かるものです。どのくらいのゴミの量があるかとか、ビールの空瓶を何本出してるとか、生ビールの空き樽が何本あるとかで、場合によっては売上の推測までできます。
私の方では、見るでもなく見ていた時のこと、その料亭では大きな日本酒の紙パックをゴミとして出していました。料理酒なのかなと想像しましたが、どうも違うようでした。何度も見かけたわりに、紙パックの銘柄は忘れました。
私には詳しいことはわかりません。
しかし、料亭で提供する料理はともかく、日本酒にはどんな意味があるのだろうと、そして、その店を利用するお客様は何を求めて行っているのだろうと、 その時考えた覚えはあります。
客単価が2万円はくだらないだろうある料亭。
どこも全部というわけはないでしょうが、お客様に提供する日本酒が、これで成り立っているとしたら…
かつてのバブル崩壊前の頃のことですから、きっと現在では裏事情も変わってきているはずです。
そう信じましょう。