御前酒 純米吟醸無濾過生原酒

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 御前酒 純米吟醸無濾過生原酒

KHさんたちにいたありがたい酒。

御前酒純米吟醸無濾過生原酒(アキヒカリ50)御前酒あきひかり裏書

私の出身が岡山だということから、わざわざ探してくれた1本。

生だけあって麹の甘さが底にある。もちろん辛口の酒ではないけれど、米のもつ甘さを生かしたトロリとした滑らかさと、キリッと締まった後口の辛味を感じる至福の一品。そして、「アキヒカリ」という酒造好適米は初めて。

酒は奥が深い。

もともと岡山の酒は甘口が中心だった時代がある。
理由は自分では明らかに出来ないでいるが、広島も同じ傾向があったことを思うと、地域的な流れだったのかもしれない。
酒の味を語るのは言葉選びで苦労する。
今も「甘い辛い」を評価の最初に持ってくる人が多いもの確かだし、もしかしたらそれこそが日本酒の普及の邪魔をしているようにも思う。
どんなに努力したところで、米から作る日本酒は本来、甘いに決まっていいる。
米を麹の作用で甘く糖化させ、それをアルコール発酵させなければ日本酒にならない。
この本来の甘さをどう味方につけるかが、酒造りの醍醐味のように思う。

 自分が好きな酒のタイプは

若い頃、日本酒に目覚めた頃、辛口が良いのだろうと決めつけた頃、徹底して辛口の酒を求め続けた私自身の過去がある。
誰しもここにハマってしまうことを否定する気もないし、むしろハマってしまったほうが良いとも思う。
何しろ自分の舌のことで、こればかりは試してみなければわからない。
もっとも、日本酒の辛さを言葉にすること、本質を理解することは、案外難しい。
「くどく上手 ばくれん」という超辛口の吟醸酒がある。日本酒度 プラス20という、ある意味桁外れの辛さなのだ。
ところが、これを「辛くない」と言う人もいるくらいなのだから。確かに吟醸酒ならではの、口に残る独特の甘さはあるだけに。
きっと、辛くするだけなら難しいことではないのだろう。
旨さなど度外視して、ひたすらに辛さを求めればいいだけだから。

そのせいか「旨さを謳った究極の辛口」に出会ったことは、私の中では、まだない。

この御前酒は甘くて、どこか辛いのだ。
矛盾している。
しかし、「美味しいなあ」と言葉が出る酒なのだ。
理屈など何処へやら。
感じるままで素直になればいい。
爾来、酒はそれで良いのではないかと、改めて思う。
旨ければいいじゃないか! っと。