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三原港
時間があるので、三原港に行ってみることにしました。宿の目の前の運河のような水路を走る舟の先を右へ入ると港はあります。
朝から雲のない鮮やかな青空になり、三原港は日差しで眩しいくらいです。佐木島、因島方面へはここからのフェリーが一番近いでしょう。大分県竹田市までゴールデンかぼす応援隊としてどうしていたメンバーの一人が、この佐木島出身でしたから、これも縁のひとつ。広島県の三原港の目の前にありますが、愛媛県の島です。
三原港は川の河口の手前の河岸を切り拓いて造ったように見えます。海に面した港と言うには、いくぶんの景色の違いを感じます。港からは1kmほどの運河を下って海へ出るような立地です。歴史上は小早川隆景が三原城を築くとともに、城の直ぐ南側の港を瀬戸内の中央を抑える軍港として整備したそうです。歴史を背景にして眺めると、港の見え方も変わってきます。
尾道から四国へ渡る「しまなみ海道」ができてからは、かなり寂しくはなっていることでしょう。昨年訪ねた岡山の宇野港の寂れ方を考えると、この三原港のかつての賑わいはいかほどだったろうと想像できます。
三原城跡
本来の目的の酒蔵、醉心山根本店さんへ向かうにはまだ時間があります。三原駅の北側に隣接する、小早川隆景の建てた三原城跡に行ってみます。駅の通路を北口に抜ければすぐ、濠に囲まれた天守台跡の立派な石垣が見えてきます。この濠が先ほどの三原港とつながってひとつの城郭をなしていた姿を思うと、勇壮で堅牢な城だったことでしょう。知将と言われただけの実力を思い知らせてくれます。
地方を回ると、そんな戦国の世に端を置くような景色に出会うことは度々です。この小早川隆景が築いた城も、勝敗での権力の移り変わりで右へ左へと揺らいだ歴史を辿りながらも、立地的な価値はそのままに時を経てきたのだと思います。
しかし、その石垣の上への登り口が見当たりません。反対側(西側)へ回るかと思い駅の北口から戻ると、その少し脇にひっそりと上への階段を見つけました。どうやろ駅の構内からしか城跡へは上がって行けないようです。
ちょっとした展望台のような小さな公園からは、直ぐ横に新幹線を待つ人の姿も見え、これも一種の違和感でしたが、晩秋の日を浴びた街の北側の眺めは色づき始めた山もくっきりと見通せていました。
そろそろ広島の酒の代表、酔心さんへ向かうことにします。