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何を見て店を選ぶ
初めて訪れた街などでどの居酒屋に入ろうかなと、店を選びながら歩くのは面白いものです。お馴染みのチェーン居酒屋では想像通りの結果になることがほとんどですが、個人店などは期待と同時に不安も頭をよぎるものです。
自分の見立て通りか、眼鏡違いか、ファサード(入口の造りやディスプレイ)を見ただけで判断するのは、ある意味賭けのようなものですから、自分を信じるしかありません。
太田晴彦さんばりに、少し紹介します。
先ずはけわかりやすい例をひとつ上げます。
これはかつて定食屋で経験しました。8人ほどの仲間たちと出かけたJR代々木駅近くの夕食時間に、酒ではなく空腹を満たす食事をしようとなった時でした。たまたま定食屋が2軒、隣同士で並んでいました。たぶん時間は19時頃だった思います。手前の店はなかなか混んでいて、大人数を受け入れる余裕はなさそうでした。そこで隣を覗くと、ほとんどお客様がいません。
「じゃあ、こっちに入るか!」と言うことで、全員がここで食事をしたのでした。
とにかく腹を満たした私たちは、会計を済ませて出てきてすぐに、同じことを言い始めたのです。
「隣が一杯で、ここが空いてた理由が分かった!」
皆んなが同じ思いを共有することになったのです。
この教訓は店の中が少しでも見えるなら、お客様のいない店は避けるほうが間違いないということです。
これは定食屋ですが、居酒屋も全く同じです。地元の人が一番知っています。わかりやすいこの情報は最も頼りになります。
次に何を見る
最近では外れの店は長続きしないため滅多にお目にかかることはないのですが、いろいろと想像をふくらませる方が楽しい。
「今日はこういう飲み方をしたい」という方針だけは持ちましょう。私はカウンター席が大好きですから、二人の時はむしろカウンター席を選ぶことも多いのです。
とにかく何が一番の売りなのかが分かる店から選択肢に加えることをおすすめします。魚なのか、串焼きなのか、家庭料理なのかだけでも入口で分かるようにしてくれていると、大きく外すことはないはずです。
清潔な店に入りたいなら、もちろん玄関周りの掃除が行き届いていれば安心です。周りに張り紙やアピールが多い店は、店内も同じです。やたら雑多なガチャガチャの風景を観る覚悟が必要です。
暖簾が短く、看板が小さく、照明もグッと落ち着いていると、多少は財布と相談してからの方がいいでしょう。
古いのではなく、歴史を感じる店は間違いありません。多少高めでも大した違いはないので、折角の機会にチャレンジも必要です。
その店はどこにある
駅前の大通りを歩いていてはチェーン店にしか出会えないのも確かです。そんな家賃の高い場所での個人店は難しい。もしも駅前にそんな歴史の有りそうな店があったなら、これは相当な年月その場所で営業している老舗です。
一本奥に入った路地がおすすめです。道を行く自分と同じ世代の人を追ってみるのも一つの方法です。その人が迷いなく入った店はそういうことです。そして、そんな路地では一度隅から隅まで歩いてから判断しましょう、それからの方が後悔がありません。
入口横に鉢植えがいくつか並んでいる店には、たいていは女将さんがいます。20~30席もあれば多い方で、初めてでも寛げるに違いありません。
そして最初に出てくるお通しを見れば、その店の本音が分かります。そこで理解した上で、料理を注文することが賢明です。お通しで店の品定めをする。これは基本です。
さて、ここからはその店を楽しむことに集中しましょう。
幸運を祈ります。