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安いのは大好き
来店のきっかけや購買の動機には絶大な効果があり、会計時に会員券やポイントカード、割引券を付属サービスを加えることで、再来店や定着につなげようとするのもよくある手法です。しかしこの付属サービスも結局は安くすることに他なりません。
安いのは何か
私の若い頃にも積極的ではないですが、商品を安くすることで打開しようとしたことは何度もあります。一時しのぎのような効果は当然にありました。他にも安く売るだけではない販促も数々やって来ました。
つい先日の千葉県の柏駅近くの居酒屋でのことです。ここは馬肉居酒屋とも言うべき店で馬肉料理が中心です。そんなグランドメニューの中で馬肉の唐揚げを一切れ10円で置いていたのです。ただし一人1個という限定品です。もちろん揚げ方も上手で美味しい料理でした。ところが、私の勝手な感覚ですが、これを理由にもう一度来たいとは思わなかったのが事実です。

そう、そうだと思います。
居酒屋の生きる道
メニュー単価で勝負するにせよ、他の価値で勝負するにせよ、居酒屋の生き残りをかけた戦いが終わるとは思えません。ある頃から、私はサービス券のようなものを一切配らなくなりました。会社が決めた物であっても、配りませんでした。キャッチに出たこともありません。値段の安さを競ったところで、実際の低価格居酒屋に太刀打ちできるわけがないのです。
季節の旬の料理を置くこと、その時期ならではの地酒を置くこと、お客様の名前を知ること、好みを覚えること、誕生日を知ること、出張などの予定を知ること、ご家族のことを知ることなどなど。私にとってはそれが重要な事でした。それには会話のきっかけを作らないと、従業員誰もが同じことをできるわけではありません。そのためにこそ、小さなイベントや季節の催事を利用しました。

例えば、500円の生ビールを最初の1杯だけ無料で出すとします。もちろんこんなことはしませんでしが、この場合は200円の原価を捨てたことになります。お客様が1杯余計に飲んでくれれば、売上は維持できても、200円の原価を取り戻すことはできません。
外から誰かを連れてくるよりも、その時に在店するお客様をリピートさせる方が遥かに簡単です。
これはあくまで例です。繰り返しますが安売りを否定はしません。それぞれの業態が居酒屋戦争で生き残るために、自分の何を売りにするのか重要です。料理やドリンクの個性なのか、店の特別な内装や雰囲気なのか、それとも単に売価なのか、あるいは従業員なのか。ここを見誤ると敗者になる危険が待ち受けることになるのです。