2018長期熟成酒ルネッサンス その4

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  飯沼本家 甲子正宗・千葉県印旛郡

こちらの酒蔵は積極的に各種の試飲会に出店されています。そして今回の目玉商品「甲子・汲古(くこ)」は21年熟成の純米吟醸酒で、各会場で何度か見させてもらっていますので、名前はよく覚えています。

甲子汲古(きのえねくこ)・純米吟醸
詳細な通知はホームページにもなく、ご紹介することができませんが、紹介文があったので引用して記しておきます。
1997年製造の甲子長期熟成酒(古酒)。黄金色に輝く濃醇で風味豊かな味わいは、和洋中料理の食前酒としてはもちろん、チョコレートやチーズにも相性が良いです。
2,300円(税抜)/300ml
このお値段ですと、簡単に購入できるものでないのは確かです。しかし、21年物となると致し方ないのも事実。自分用に買って帰るには勇気がいります。申し訳ないながら、こんな時に試させていただくに限ります。

写真はかなりピントがぼやけてお恥ずかしいのですが、参考に添えておきます。

熟成酒に力を入れている酒蔵が増えているように私には思えます。各地方の中小のお蔵さんも手がけ、日本酒の未来に希望を持ち、一役買おうと努力しているのは大変なことだと感じます。
そんな中での大手さんが次です。

 沢の鶴株式会社・兵庫

1973年醸造 古酒 720ml
こうして大手さんが熟成古酒に力を入れるようになると、その規模や技術力は当然に他を凌ぐものがあるはずです。中小の酒蔵が挑むにはかなり手強くなりそうです。
先ずはホームページよりデータを引用します。
沢の鶴株式会社 1973年醸造 古酒
熟成を極めた味わい
40年以上の歳月を経て生まれた黄金色に輝く長期熟成酒です。
奥深く力強い香りとまろやかで重厚な甘味コクのある伸びやかな旨味をお楽しみいただけます。
酒質     本醸造 古酒
アルコール分 16.5度
日本酒度   -4.0
酸度     2.0
アミノ酸度  2.5
飲み頃温度  15℃(涼冷え)50℃(あつ燗)
相性の良い料理 重厚な味付けの料理、すき焼き、鰻の蒲焼き、鴨のロースト など
価格     10,800円(税込)/720ml
1973年ですから45年の歳月を経てここに並べられていることを思うと、感無量です。有難きかな、日本酒の持つ力とは不思議なものです。

 鑑定団ほか

酒造メーカーだけでなく個人でのメンバーの方や、熟成酒と合う肴を取り扱うメーカーさんも出品されているので少し紹介します。

 長期熟成酒研究会鑑定団

昨年もそうでしたが、個人で参加している方たちが「鑑定団」として、各自が個人で保存しているお酒を出品してくれています。
今回特に紹介したかったのは「にごり酒の熟成酒」です。写真も撮らず、銘柄も確認せずでしたが、深緑の陶器の壺に入った一品でした。少し注いでもらうと、失礼ながら見た目は泥水のよう。何も知らないで出されれば、一瞬躊躇するようなお酒になっています。しかし、これが旨い。さすがにその希少性から申し訳なくてお替わりはできませんでした。
保存の仕方にも心を配ったであろうと想像しながら、ただただ頭が下がりました。本当にありがとうございます。

 近江佃煮庵・遠久邑(おくむら)

各酒蔵や酒屋さんがそれぞれのブースに、熟成酒と合う肴を置いて振る舞ってくれています。しかし、滋賀県近江八幡の佃煮屋さんも出展していました。わざわざ自社の商品を持ち込んでくれています。
佃煮が熟成酒と相性が良さそうなことも想像でき、いろいろと試食させてくれるのが、まさに私たちにはご褒美のようです。もちろん買い求めて帰ることもできます。

ここではまさに近江の土地柄「鮒寿し」も用意してくれていて、これを一切れ口に入れると、そのやや酸味のきいた味わい深さが渾然となって、胸の中にまで広がるところがたまらなく幸せを呼びます。

こんな粋なことが渋谷(会場が渋谷)であるのです。
私たち酒飲みの満足は果てしなく続きます。
長期熟成酒研究会の皆さん、私は応援し続けます。
約束します。
そしてまた来年を楽しみにさせてください。

遠久邑さんパンフ画像