長期熟成古酒 古時計&afsそして鑑定団

「長期熟成古酒ルネッサンス2017年」もそろそろ締めに入ります。若者の多い渋谷での開催には、そういう意味もあったのだろうと想像しています。

この記事の目次

 山形 加茂川酒造株式会社

今回の熟成古酒の集まりでは、幾つかのブースで「この酒に合う」つまみをそっと用意して楽しませてくれます。
レーズン、ナッツ類、いぶりがっこ、チーズの味噌漬け…

至れり尽くせりではありませんか!

大古酒「古時計」 純米貴醸酒 7,560円/500ml
おけい茶屋 熊谷商店さんより出品されていたお酒です。
貴醸酒とは? 東京国税局-お酒のいろは より引用:
【貴醸酒】(きじょうしゅ)
貴醸酒は、仕込水の全部あるいは一部に清酒を使用して発酵させることを特徴とした清酒です。この製法は現在の「独立行政法人酒類総合研究所」の前身である「国税庁醸造試験所」が開発したもので、一般酒に比べて味が濃く甘口であることから、食前酒として好まれています。

長期熟成酒古時計

ここにあるように、貴醸酒とは水の代わりに清酒(日本酒)を使用して造るお酒です。その分原価もかかるので、どうしたって高級酒になってしまうのはやむを得ませんね。

そんな中でこの「古時計」は1972~74年のものをブレンドしています。45年の歳月をじっと我慢してこの日のテーブルに登場したのです。

7,560円/500ml- 果たして高いか安いか!
一体、今後再び口にするチャンスはあるでしょうか?

感動です。

誰もが想像しがちな古酒の独特の香りではなく、鼻先を近づけただけで引き込まれていく魔力まで感じます。いやいや、言葉になりません。今は蔵元にもないという話でした。

 千葉 木戸泉株式会社

私には「古酒」ときくと一番に「木戸泉のアフス」が浮かんできます。

たぶん最も付き合いの長いブランドだからです。30年以上前に、外房線の御宿駅の近くにあった木戸泉の売店まで、わざわざ買いに行ったこともあります。

その頃から少しずつ姿は変えたことでしょうが、今では「アフスオールドリザーブ」となって商品化されています。

アフスオールドリザーブ本醸造 4,320円/360ml
木戸泉酒造HP: より引用抜粋
独自製法で造られた長期熟成したアフスですが味わいを一言で表すと一段仕込み濃厚多酸熟成酒です。
他では味わえないオンリーワンの味わいを追求した弊社自慢の逸品です。
1970年代の原酒をベースにブレンドされたお酒です。
-長期熟成酒の1つの到達点を目指して-
先代社長が試行錯誤の末、完成させた高温山廃一段仕込みの原酒を長期間蔵内にて熟成させた逸品。
時の流れを経た酒は美しく茜色を生み、醇熟した香りとコクを醸し出します。
人間の五感をフルに活用して味わってください。
全てが日本酒の固定概念を打ち砕くそんな味わいの古酒です。
原料名 米・米麹・醸造アルコール
原料米 国産米使用
精米歩合 70%
アルコール度数 17%
私が説明するより蔵元のホームページの方が参考になるでしょう。
同時出品されていた アフスの1年物もまたたまらない美味しさでしたよ。

afs (2)

 まだまだあります

長期熟成古酒ルネッサンスのイベントできちんと紹介できなかったところを、少しだけ書き加えてご紹介します。

・沢の鶴酒造さん 兵庫は灘の大手全国銘柄
・福光屋さん 加賀鳶で有名な石川県の酒蔵
・酒井酒造さん 五橋は山口の代表銘柄
・南部美人さん 誰もが知る岩手の有名銘柄
・島崎酒造さん 栃木で「熟露枯」の銘柄の古酒シリーズを発売
・森本仙右衛門商店さん 三重の「黒松翁」
  ここの「黒松翁活性生原酒・特別本醸造にごり酒3年熟成」
  これが堪らなかったです。
  「3年と書いてるけど、もう5年になります」とすすめてくれました。

  活性生原酒のにごり酒・5年熟成? ほぉ~~!

黒松翁にごり5年

 鑑定団

月の桂琥珀光

実は「鑑定団」というグループの人たちが、なんと個人で保管している熟成酒を出品してくれていました。

松竹梅の「白壁蔵」・月の桂「琥珀光」などなど。
メーカーから古酒として販売されたものばかりでなく、自分たちが個々に選んで購入したお酒を、各自に熟成させて鑑定しているのです。

この人たちの集まりには感心しきりでした。

いくつか話を伺うと、日本酒の未来を真剣に考えていて、もう何年もこうして熟成酒のイベントを毎年開いているそうです。
きっと長期熟成酒研究会の個人会員の方たちだと思いますが、こうして皆さんが支えて研究会が成り立っているのでしょう。

その方、曰く:

日本酒が世界で認められるには、ワインに勝てるものでないといけない。大吟醸や純米大吟醸だけではもう難しい。ヴィンテージのワインにも日本酒の熟成酒は勝てるんだということを見せたい。

メーカーの努力だけでなく、私たち消費者もそのために何ができるか。
本来、世界に誇ることができる日本酒の醸造技術と味わい。
やはり、国全体で支え発展させる姿勢が必要です。
最後に酒好きの心意気を見せてもらい、日本酒の将来を見据えた取り組みを教えてもらいました。

さて、私も酒好きの意地を少しでも発揮できるようになりたいものです。
今回のイベント、参加費@2,500円。若い人たちにも知ってほしいからこそ、会場も渋谷にしているのかも知れません。

ほんとうにありがとうございます。

※ 長期熟成古酒ルネッサンス2017年

主催:長期熟成酒研究会

コメント

  1. 暖簾の外の利酒師 より:

    クリスマス・ピポ様
    コメントありがとうございます。
    昨年の池袋での試飲会で初めて「長期熟成酒研究会」という存在を知りました。そして今回その研究会主催のイベントがあると知り、友人と楽しく参加させていただきました。
    一言で長期熟成酒といっても、限りない個性の数々に驚嘆すると同時に、夢のような時間を過ごさせていただいた思いでいます。
    正直、出品されていた月の桂の細かいところまでの記憶が曖昧でお詫びしなければなりません。今後も何らかのかたちで応援を続けたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

  2. クリスマス・ピポ より:

    「月の桂」他、63by5本を出した者です。
    中々、自分好みの味にはなってくれない自家熟成酒。
    今回はいかがでしたでしょうか?