土用丑の日 その背景も肴にして呑む

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 土用とは

もうすぐ2016年の夏の土用丑の日です。
酒の肴にひとくさり。
暦の考え方で、各季節の間に次の季節になる準備期間として「土用」を設けました。例えば、いきなり春から夏になるのではなく、その間に「土用」を置くことで、徐々に春から夏に移っていくという考えからです。
そして、「土用」は18日間あります(19日の時もあるようです)。その「土用」の初日を「土用の入り」と言います。従って、土用は年に4回あります。詳しい日程はその年の暦を確認してください。

各季節が始まるのは、立春、立夏、立秋、立冬です。そこで、その前の期間18日間を「土用」と定めました。しかし、今では秋になる前の夏の土用だけが、世間で話題として取り上げられるため、他は忘れられたような状態です。

2016年の「立秋」は8月7日のため、8月6日までの18日間が、夏の土用となり、土用の入りは7月21日、丑の日は7月30日(土)です。

 丑の日とは

同じく、昔の暦の考え方で「干支(えと)」というものがあります。現在では、「干支はなに?」ときかれると、その年の「十二支」のみの「午」とか「未」と答えることが多いのですが、本来の干支はそうではありません。
10回ごとに回ってくる「十干(じっかん)」というのがあります。甲・乙・丙・丁…という言い方がそれです。

干支というのは、その十干の「干」と十二支の「支」を合わせて「干支」といいます。1年1年についても、1日1日についても、昔の暦ではその二つを組み合わせて「今年はなに年?」「今日はなんの日?」と決めていたのです。
例えば、十二支では子・丑・寅・卯・辰…と続きますが、これを十干の甲乙丙丁と合わせて、「甲子(きのえね)」「乙丑(きのとうし)」として順番に巡っていきます。従って、その「丑」にあたる日が「丑の日」ということです。ですから12日間に1回巡ってきます。よく「今年は二の丑がある」という理由はそこから来ています。「土用」の18日間に、「丑の日」が1回になる年と2回になる年があるためです。

うなぎ蒲焼

丑の日には「う」の付くものを食べるといい、とか、黒いものを食べるといいとか、昔から言われていて、平賀源内がそれに結び付けたかどうかは、実は不明だそうです。ただ、あれこれと理由をつけて集客に結びつけたかったのは事実なのでしょう。

 余談

十干の「甲」に十二支の「子」を最初に組み合わせて、初年を「甲子」の年とし、翌年を「乙丑」の年とするようにします。すると、十干は10個、十二支は12個のため、これを順番に上下であわせていくと、十二支が2つ余ります。
そこで、11年目は再度十干の「甲」を十二支の残りの「戌」に 、12年目は「乙」 と十二支の最後の「亥」を合わせて「甲戌」「乙亥」とします。これを繰り返して、もう一度最初の「甲子」の年に戻るのは61年目ということになります。
これを世間で残っている言葉で「還暦」といます。還暦の祝いを、「六一の祝い」ともいうのはこのことです。
「甲子園球場」は「甲子」の年にできたため、その名前が付きました。因みに、昔の言葉や事例に、この「干支」をつけたものがたくさん残っています。
「丙午(ひのえうま)」「戊辰戦争」「壬申の乱」 など。

「酉の市」もその年によって、期間中に三の酉まであるのはこんな由来です。

 酒も忘れずに

いずれにしても、ウナギと切り離して酒を考えるのも無粋でしょう。

敢えて、蒲焼きというよりも、「白焼きを前にして呑む」という場作りで行きますか。できれば、白焼きの前に「肝串焼き」をつまむ。

蒲焼きにすると、合わせる酒で意外な苦労があります。
白焼きにチョイとワサビを乗せて、兵庫の「白鷹」の樽酒を冷やでどうですか?
もしくは、石川の菊姫純米をぬるめの燗で。

たまりませんねえ!