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芋煮会を倣う
山形の名物の「芋煮会」は、現在では全国で知られるようになりました。秋に収穫した里芋を他の野菜や肉と一緒に大鍋で煮て、親しい人たちがそれを囲むようにして集まるのを「芋煮会」と呼んび、地元の人たちは楽しみにしているそうです。昔は河原などに沢山の人が集まったと聞きましたが、今はどうなのでしょう。
もっとも山形に限ったことではないようで、近隣の県でも行っているはずです。しかし、私自身は実体験がなく、山形出身の人から聞いたり、テレビのニュースで見たりした程度なので、どんな雰囲気なのかは想像するしかありません。
東京ではありますが、以前に私が仕事をしていた店舗でも2週間ほど芋煮会を行ないました。もちろん同じやり方では難しいため、鍋を囲むという訳にはいきませんでした。しかし、仲間たちと芋煮を食べる会だと考えれば、やりようはいくらでも考えられます。
店をひとつのグループとして仲間たちが同じ鍋を囲む感覚でした。もちろん無料で配るような真似はしません。1杯200円と決めてそのかわり特典も設けました。常連会の会員になってもらい幾つかのお客様情報をいただくような企画です。
この特典の決め方で、いくらでも各店の事情に合わせて実施することは可能です。居酒屋だけでなくいろいろな飲食店で工夫をすれば、芋煮会は大変な力になります。ヒントになればと思い紹介します。
芋煮会に習う
実は芋煮会を実施したことでもっと有益なことがありました。
どんな企画であっても居酒屋で行なうにはお客様への説明が必要です。飲み放題だとか、生ビールが半額だとかでは大した説明の必要さえありません。告げれば済むだけです。
ところが私たちの企画した芋煮会は、幾つも説明しなければ全部を理解してくれるのは適わないのです。当然、ひとりひとりの従業員もしっかりと理解していないと説明はできません。だから、却ってそこが良かったのです。
芋煮をおすすめするには、お客様の横で話しかけ、言葉を交わすことになります。普段のオーダーを伺うのとは訳が違います。従って、お客様との距離を縮めないと「何、なに?」と聞いてくれません。
各店長ならば当たり前のところを、全てのすべての従業員が実行することで生まれる効果が一番の収穫でした。飲食店の従業員がお客様と業務以外の会話をするケースは、小さな店を除いてはそんなに多くありません。確かにコアな常連さんであれば別です。だからこそ、この芋煮会のような企画で会話をするようになると、そこには親近感が生まれます。
それまで顔は知っていても、名前まではわからなかったお客様の名前も教えてもらえるようになります。従業員も名前を覚えてもらえます。ここが大事なのです。その他大勢ではなく、一人ひとりになります。
居酒屋に限らず、飲食店の肝心なところはお客様との距離を縮めることなのです。これなくして常連さんは作れません。そして、どうすれば縮められるのかを常に苦労しながら日々を過ごしているのです。店長だけでなく、従業員皆んなができるようになれば強い店になります。
本当はこちらの方がヒントになるのではと思います。