岡山名物の「えびめし」から見えるもの

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 えびめし

全国に名が通るほどではないにしても、「えびめし」は今や岡山名物のひとつと言われるようになりました。私の若い頃、と言っても既に数十年前のことです。当時は確か「岡山いんでいら◯◯店」というようなお店で「名物えびめし」としてメニューにあったように思います。何店舗かが岡山にあったのですが、カレー屋さんの印象が強く、カレーのほうが地元では食べられていたように記憶しています。

元々は東京発祥の「いんでいら」から名前を許されて、従業員の方が岡山で独立したと聞いています。当初、東京では渋谷周辺に「いんでいら」は数店舗かありました。しかし、残念なことに、今では大田区の千鳥の辺りで1店舗だけ静かに営業されているようです。

 分家が栄える

本家よりも分家のほうが栄えるというのは余り聞かないケースに思えますが、居酒屋チェーンではフランチャイズ加盟店が努力・工夫をして、結局は加盟を外れて屋号を変えて独立し、本家よりも大きくなった有名なケースがあります。もちろんこれは正確には分家ではない状態です。

売り物の看板が「有名料理」である場合とは違って、「ノウハウ」を売る居酒屋チェーンだからそうなったと考えれば頷けます。最初は教えられ、手に入れたノウハウでも、これをさらに肉付けしたり効率化したりして、より良い新しいものにできるのならば、加盟を外れることも可能でしょう。むしろフランチャイズ本部(フランチャイザー)が日々進化し続けることでしか加盟店(フランチャイジー)を繋ぎ止めることができないのが事実なのです。「ノウハウ」を売ることが常に新しい「コンテンツ」を売ることに繋がるのが大切で、それはまた大変に難しいことだと私は理解しています。

「白木屋」さんと「和民」さんが本家よりも巨大になったのは、上回るものを見つけたり作り出したり、オリジナリティーをさらに加えたりという努力の賜物であることも間違いないはずです。

 株式会社いんでいら

今現在、岡山では「いんでいら」という店名は残ってないようです。しかし、株式会社いんでいらという社名で「懐古的洋食えびめしや」という屋号のお店を3店舗出店していて、そこで「えびめし」は提供されています。

聞いた話では、岡山駅構内のどこかのお店で「えびめし」を食べられるということでしたが、この会社の店舗とは別なのかも知れません。

伝統を守るというのは簡単ではなく、技術を伝えるだけではきっと無理で、培っていた歴史の中で引き継がれた理念や主義主張に裏打ちされて初めて、成り立つことと思います。

この日味わった、おそらく20年以上ぶりのえびめしやの「えびめし」。さすがに味は前のまま、しかし、店の作りや雰囲気は以前よりもっとカジュアルに変身していました。ボリュームも増していて気軽に利用できるお店です。

東京では千鳥まで足を伸ばさないと食べられないものを岡山で味わうことが出来ました。
味の説明は本当に難しい。海老がたっぷり入ったスパイシーな焼き飯と言っては失礼でしょうか?好みは別れるとしても、癖になる味です。どうかいつまでも、この味を伝承して欲しいと願う私でした。