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東京の酒
寒いながらも天気に恵まれて初詣に出かけることにしました。信心深いわけではありません。JR阿佐ヶ谷駅の北口からすぐにある「神明宮」です。この辺にお寺か神社かがあったなあと思い、地図を見て確認しました。日本で唯一、八難除けのご祈祷をしているそうです。
思っていた以上に人が多く、地元の方がたくさんお参りに来ているのでしょう。境内もかなり広く、鳥居をくぐると直ぐに「能楽殿」があって、日曜日だったこともあり、地唄舞、箏曲演奏など新年の奉納の催しが幾つも企画されていました。能楽殿の造りのお陰か、音の通りや響き方が素晴らしい。前の陽の当たる芝生には椅子が並べられ、鑑賞には問題なし。外国人の参詣者がいれば喜んでくれたかも知れませんが、意外に少なかったのが残念です。
奥の本殿はぐるりを仕切られていたので、近くには寄れませんでした。いつものことですが、遙かな先に積んでいる酒樽が気になって仕方ありません。画像では小さすぎてわかりませんが、「嘉泉」の文字が見えます。やはり東京の酒。
人が多いせいか奥は一方通行で、左へ回り込んだところが「御朱印受付」になっていて、20人ほど女性ばかりが並んでいるのには驚きです。噂通りの御朱印ガールたちでした。
甘酒
そこを過ぎるとお酒と麹の香りが漂ってきます。
こちらもスーパーの棚に何種類も置くようになった近年の流行。
こちらもスーパーの棚に何種類も置くようになった近年の流行。
白いテントの中で、大きな寸胴鍋に入った熱い1杯100円の「甘酒」です。かなり年配のお母さんが竹の柄杓でゆっくりと注いでくれます。「麹も酒粕も両方入ってるよ」と説明してくれながらでしたが、確かに麹よりも酒粕の香りのほうが辺りには強い。でも不思議なもので、鼻を近づけると麹のほうが勝っている。味はもちろん麹の奥深さがまったりと佇み、酒粕の風味とのバランスが上手く絡み合って、情緒までが充満してきました。
私は子供の頃から、初詣と言えば必ず思い出すのが「甘酒」です。
少しだけ冷えてきた体にはご馳走です。餅やお飾りを見るよりも今年は正月を感じてきました。
「よかったらお神酒もどうぞ!」とテントの奥にある卓で日本酒を振る舞ってくれています。5本ほどありましたが、こちらから見えたラベルは「松竹梅」でしたから、ここもやはり「お目出度きかな」を演出です。
ホッとした気分でお参りを締めることになりました。
ちもと総本店
パールセンター商店街を通って南阿佐ヶ谷から帰ることにして、どこかで蕎麦でも食べてからにしようかと思いながら歩いていたのですが、なかなか目につきません。見逃しただけかも知れませんが、商店街を歩くだけでもこの街は楽しいのです。
古書店で本をあさり、八百屋で七草のパックを見て、酒屋でウィンドウを覗いているうちに商店街の終わりに近づいた時でした。
どうやら本職は甘味処のようですが、蕎麦を置いている店をみつけ、こちらで蕎麦をいただくことに。
「ちもと総本店」
軽井沢の紅葉のPOPが店内にあり、軽井沢の天然水の文字もあります。お品書きは甘味が中心です。残念ながら甘味には全く興味がわかず、情報も知識も持っていない私です。蕎麦に満足しながらわかったのが、この店はどうやら軽井沢に関わる店らしいということだけでした。
知らないこととは言え、後に調べると、軽井沢の有名な老舗甘味処の南阿佐ヶ谷店だとか…場所を知られた他の東京の店舗では行列もできるほどだというのも知りました。
甘味に縁のない私が期せず入った店がそんな有名所というのも不思議なもの。「蕎麦屋で一杯」という雰囲気でなかったことは確かでした。