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横田酒造・江戸の宴
芳醇旨口。酒造りは、神がかり的なものとして太古の昔から醸されてきました。 それが明治(1895年)になり、初めて清酒の発酵を司る清酒酵母が発見され、 不思議な酒造りの仕組みが明らかになってきました。 “江戸の宴”は、現代までひっそりと生き抜いていた、この日本最古の清酒酵母を使って、文献を基に江戸時代の酒の復刻に挑み、完成したものです。 甘みと酸味がバランスよく混合し、現代の一般的な清酒とは異なる、濃厚でありながら滑らかな舌触りの、洗練された味の深みを楽しめる、”新しいお酒”に仕上げる事ができました。
「日本最古の清酒酵母」というこの響きがたまりません。これまで沢山の試飲会に出掛けましたが、出合ったことはなく横田酒造さんで初めての経験です。説明にあるように、また数値で見るようにかなり個性的なお酒です。確かに好き嫌いはあることでしょうが、私には飲みにくいという印象は全くなく、甘さと酸のバランスと言うかせめぎ合いが何とも楽しいお酒でした。しかし、淡麗辛口とは程遠いのは確かです。
麹室
酒造りはほとんど終わっているからと、蔵の中を案内してくれました。機会があれば詳しくお伝えしたいところですが、画像はほとんどありません。中でも今回入れてもらった麹室。普通は麹室まではなかなか入れてもらえないはずで、これには感動しました。
一般酒用と奥にある吟醸酒用と2つあり、分けて使うそうです。その暖房装置として太い電熱線を壁に添わせて下の方に巡らせているのには驚きました。他の暖房設備では湿気のコントロールの問題があるのかなあと思いながらでしたが、近年に張り替えたばかりだということです。これだけ機械化が進む中でも電熱線が一番いいのか!と感心してしまいました。
横田酒造のある意味遺産
夕方からは横田酒造さんの敷地にある古い蔵のひとつを他社に貸してして、そこで営業いしている居酒屋を訪ねました。見事な造りで雰囲気も抜群。蔵であった良さを活かし、天井は高く、全体に広々とした空間を造り出しています。この店に横田酒造さんの日本酒を置いてないのが残念でしたが、このお店では横田酒造の専務さんもしばらく同席してくれました。
街道沿いのお大きなファミレスはメニューのアイテム数で勝負するのか、あるいは絞ってターゲットを明確にするのかは悩むこともあるでしょう。しかし、並べた以上はそのメニューを揃えるのがお客様とのお約束です。最初から品切では先が思いやられるように思います。もっと頑張れ!横田酒造さんのお酒も置いて。
帰りにはすっかりと日が暮れ、酒蔵の煙突の横に月が明るく昇っていました。