大分・浜嶋酒造 鷹来屋の挑戦

 鷹来屋・浜嶋酒造

若い人が頑張ってる蔵元だと、大分県庁の方から聞いて、訪ねようとした酒蔵。
蔵を継いだ若い力が自分の感覚を活かし、新しいブランドを立ち上げ、その引き合いが多くなり、活気ある酒造りをしつつある酒蔵が増えてきているのは確かです。

大分の鷹来屋・浜嶋酒造さんもそのひとつです。

旧態然のままではいくら真面目な酒造りをしても、明るい未来は見えないはず。それほどまでの状況にある日本酒業界の危機意識は、誰にどこまであるのかわかりません。これからの若い世代に受け入れられる日本酒を中心にした酒造りが急務であることも確かです。
試行錯誤や冒険や、時に無謀も必要かもしれませんが、度々の失敗を許せるほどの資金余裕がどこにもあるとも思えないのも事実。世界にマーケットを求め、日本から飛び出そうと考えるのも一理あるでしょう。
そんな蔵人たちが挑む努力はもっと評価されて良い。

いや、むしろ誇りにしていいくらいだと私は認識しています。賛否両論はあれど、その酒造りに注目してもらうのは大事なことです。

そんなことを考えながら疎水の横を辿れば目の前に浜嶋酒造さんです。
表にはきれいに花も飾られ、季節に溶け込むように静かな雰囲気で、隅に小さく「Cafe」と書かれた看板が立てられています。コーヒーもいただけるような作りになっているんでしょう。玄関の上に大きく掲げられた木の「鷹来屋」の看板はうまく画像に収めることができませんでした。

 今日の私は純米酒

まるで昔の土間のように作られた玄関の広間にディスプレイされたお酒を眺めながら入りました。
「少し見せてください。」

正面には大きなリーチイン冷蔵庫があり、「鷹来屋」のラベルのお酒が何種類も美しく陳列されています。あとから思ったのですが、お願いして写真を撮らせてもらえばよかったと後悔しています。

係の女性は本当に親切に対応してくれました。
「試飲もできますが、運転は…」
「いえ、駅からのんびりと歩いてきました。」
「えっ!歩いてですか?」
不思議なもので、地方に行くと車での移動が普通になっているために、1kmあまりの行程でも「歩く」という選択肢は珍しいようです。
お陰で3種類ほどみさせていただき、私は純米酒を購入することに決めました。穏やかで膨らみのあるお酒で、背負って帰るのに若干のためらいはありましたが、この機会に連れて帰らないわけにもいかず、お願いすることにしました。
東京で取扱のある酒屋さんのリストもいただきました。そしてそこの5軒の中にはよく知った酒屋さんの名前があります。

 五代目の挑戦

後日少し調べると、浜嶋酒造さんの現当主の五代目があとを継いだ当時は、桶買いをして出荷するような状態だったそうです。それから自分で酒造りを学び、何年か他の蔵で経験を積み、やっと店の屋号である「鷹来屋」のブランドで自分の造ったお酒を世に出すことができるようになったようです。

単にあとを継いだだけでもしばらくは維持することができたかも知れません。そこに再興したいとか、お酒への情熱とかが折り重なって、自分で造ろうと決意して努力をされたんでしょう。しかし、努力したからと言って必ずしも日の目を見るとは限らないし、買い手がすんなりと見つかるわけもありません。むしろその苦労のほうが大きかったとも思います。

そんな経緯を知ると、竹田の山本酒店とのコラボで生まれた「竹田美人」の意味するところも、また違った形で見えてきます。
浜嶋酒造さんには15分ほどお邪魔していました。

新酒もまもなくできると伺い、やはり一番忙しい時に訪ねてしまったことになりました。

表に出て、歩いてきた道の方を見ると、まっすぐ先に「吉良酒造」さんの建物と煙突が鮮やかに浮かび上がって見えます。
まさに小春日和。
静かです。
ここまで来て良かった。