2018酒蔵巡り その4 大多喜から久留里

 君津市・久留里

久留里という町は久留里線の名前で私は覚えていただけだった。
君津市とは言っても私には君津は内房の海岸近くの場所という程度で、内陸の奥へ入った辺りまでが君津市という知識も感覚もなかった。
私の中にあった「君津の酒」は紛れもなく「久留里の酒」だったのだ。

スマホで検索した場所からこの久留里まで4km程度。予め下調べをしておけば良いだけなのに、間に合ってよかった。

久留里も大多喜と同じく城下町だった。そして町並みにはその名残がある。
あとで知ることだが、平成の水百選に「久留里の名水」として選ばれている。

ただ、自分勝手に思うのは不思議な雰囲気を湛えた景色が多く、駅近くにある「みゆき通り商店街」などは、入口を見た段階で入るには躊躇が湧き上がる。

駅の横並びの先に「久留里観光交流センター (久留里観光案内所)」。
古い蔵を思わせるような造りで、町の主張を感じる。

久留里の名産 雨城楊枝の展示があり、見ているだけで引き込まれる。さらにここには久留里の名所のカードが並んでいて、手描きの歩き廻りマップと共に来訪者の味方になる資料も豊富。

さあ、酒蔵は歩いてもすぐそこにあるようだ。

 藤平酒造

町の中心の街道に藤平(とうへい)酒造はある。しかし、表からは酒蔵と言うよりも「酒屋」そのもの。外から回り込んだり、店内でお願いすればいくらか酒蔵の様子を見せてもらうことはできたのだろうが、私たちはそれどころではなく、店内に並ぶひとつひとつの日本酒を見て回ることに集中してしまった。

店舗の写真も何も撮ることがなかったので、その点はご容赦願いたい。

主銘柄は「福祝」で、様々な造りの酒がバリエーション豊かに主張してくる。
もちろん全部を紹介することも適わない上に、蔵のホームページをみても一部しか紹介されていない。現地に行った者にしか与えられないものが多そうだ。しかも、次から次にお酒を買い求めに人がやってくるが、ほとんどが地元の人と見受けられるところが蔵にとっては心強いに違いない。
精米歩合80%の一品から目が離せなかった私も、結局はそれを買っては帰れなかった。悪しからず。

 吉崎酒造

藤平酒造から同じ街道沿いに、歩いて30秒足らずの所にこの吉崎酒造はある。

こちらは入口からして酒蔵というのが分かり、正面に煙突も見えている。建物も歴史を刻んでいて、売店の扉を開けるもの期待感が増す。

主要銘柄は「吉壽」
青竹にお酒を詰めて販売するのがオリジナルの販売方法だが、これは予約でなければ無理とのことで、詰める日によっての竹の香りの付き具合が楽しみのひとつになっているそうだ。
酒蔵に寄りながら私が買い求めたのは「久留里サイダー」。

久留里の名水から生まれた酒蔵のサイダーとは、これも話題にはなりそうで面白がってお土産にしてしまった。この記事を書く時点でまだ飲んでないので、味についての評価は披露のしようがない。

このメインストリートには古家を生かしてコーヒーを飲ませようという店もあり、ひとつひとつ巡っていけばかなりの時間を飽きずに過ごせそうだ。

 久留里城

この町が城下町たる所以の「久留里城」もある。
駅からだと歩いて15分ほどだろうか、登り口までは駅からの散歩コースのようなもの。城は山城だから覚悟を決めて徒歩で登る必要はあるが、途中の資料館や城の上からの眺めは久留里を知るには絶好の場所だ。

城へ登るには素直にアスファルトの道を登ることを私はお勧めする。そちらからなら何の問題もない。うっかりと駐車場横の「遊歩道」を登ろうものなら、遊歩道とは獣道のことかと思うほど遭難?を覚悟することもありそうな難所だったことは言い添えておきたい。

城も資料館も入場無料なのには少し意外だった。

資料館のその日の展示は「上総掘り」という井戸掘りの独特の技術を詳しく展示していたのが印象的だった。

こうして酒蔵を求めて巡った南総の道行きではあったが、その道々にある千葉の名所や歴史の数々は思いの外に興味深く、酒蔵だけでない楽しみが千葉にはあることを知った。
酒蔵に行きたいのか、その町に行きたいのかの前後はともかく、どちらが先であろうが求めれば楽しみは向こうからやってくる。尽きぬ興味も沸き立たせてくれる道行きだった。