寿萬亀 破章 長狭街道

 長狭街道の佐久間ダム

長狭(ながさ)街道は内房の保田(ほた)から山間を縫って保田川に沿いながら進んでいく街道だ。東へずっと鴨川まで続いている。
途中で保田川は途絶え、次はその先で加茂川に沿うように街道は一緒に下って行き、鴨川の町に注ぎ込む。
保田川が途切れるあたりで「⇨佐久間ダム」という看板が見えた。
試しに行ってみよう。

4月の中旬だったため所々にまだ八重桜の花が残っている。
近づくとダム湖の周りには桜の木が連なり桜の名所として有名なことは後で知った。湖は予想以上の規模で、公園も整備され、大型バスの駐車場までがある。
ということはシーズンの人の出もかなりな数になりそうだ。ところがこの日、私の見える範囲に人影はなかった。
肝心のダム湖の写真は撮らず、案内図だけというお粗末をお許しあれ。

この佐久間ダム湖、あとで地図で確認すると長い方で700mほど、幅の広いところで250mほどはあるようで、農業用の貯水ダムということらしい。そして、季節季節でタイムリーなお祭りを企画して、その時は賑わうようだ。詳細は下記の町役場のホームページから確認されたい。
鋸南町役場観光情報公式サイト
https://kyonan-info.jp/kyonan/shosai/index?languageflg=jp&chiikijohocd=0000000012

河津桜、ソメイヨシノ、八重桜などがあるそうで、ずいぶん長い期間を桜で楽しめるところなのだろう。
地元の人たち以外ではほどんど知らないだろところに、案外な名所がある。
地元の人にとっては珍しくもない場所が、他所から来た人にはその地を知るのに一際魅力をもって見えるものがある。景色だけでなく、食材や郷土料理にもよく見られる。近くにありすぎて価値が見えないことは誰にもしばしばあることだ。

 長狭街道の飲食店

保田を出てしばらく走った辺りから気づいたことがある。街道沿いにポツン、ポツンと飲食店がある。同行の友人とこんな山の中の街道で失礼ながら誰が利用するんだろう?と不思議に思いながらいた。
喫茶店風だったり、ラーメン屋のようだったり、食堂のようだったりで、地域にそれほどの需要があるとも思えないのだ。土日の観光客がこの街道を通る時かと考えるのにも無理がありそうで、そのどこもが十分な駐車場を用意しているようにも見えない。

以前の自分の商売柄、「飲食店はどんなところにも需要はあるものだ」とは信じていたのだが、腑に落ちなさが拭えない。
ともあれ、どこかののTV局で辺鄙な場所での飲食店探しを題材にしている番組があるのだから、私の認識が甘く知らないだけなのだろうと思う。
そう、「飲食店はどんなところにも需要はあるものだ」と信じよう。

 寿萬亀の亀田酒造

保田から鴨川までの工程を半分ほど過ぎた頃から、何だかいい感じになってきた。胸騒ぎと言うかわくわく感というか、勝手な思い込みというか、友人と「なにかありそうだな」と言葉を交わしていた。
すると、案内看板が見えた。
「寿萬亀・亀田酒造○km」といった内容だったと思うが正確ではない。
最初から地図アプリなどで確認しながら進めば良さそうなものだが、この日だけはなぜかそれをしなかった。
天性?の感と嗅覚を頼りにしたわけでもなく、まぐれに等しいとは思うものの、何だか酒蔵に辿り着けそうになってきた。
これは楽しみだ。

さらに進むと、やっと酒蔵の看板が見えてきた。
もちろん立ち寄らなければならない。

寿萬亀(じゅまんがめ)・亀田酒造 株式会社
看板に「バス歓迎」とあるのはやはりそれだけの団体客も見込めるのだろう。

そして、ここも他の千葉の酒蔵同様の大釜を駐車場の入口に屋根付きで設置してある。
「大吟醸ソフト」という看板にも少し気を引かれる。
日除け暖簾がよく目立つ。
玄関周りには優しげな品格とその姿から酒の滋味までを感じる。
長年培ってきだろう歴史が佇まいにもはっきりと表れている。
良いもんだなあ…
酒蔵を訪ねるのはこれだから良い。
さあ、お邪魔しよう。