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「ぬた」の素朴と多彩
「ぬた」と言って、分かる人がどれだけいることでしょう。
ここにも世代間ギャップが見え隠れです。
「ぬた」とはこうでなければいけない、と大袈裟に料理の定義を語ろうなどとは思ってないので、気軽に行きましょう。
「茹でたネギに酢味噌を掛けたもの!」
これが正解で良いじゃないですか。諸々あれど。

下仁田ネギのぬた
でも、このイメージが、最近の若い人たちには定着していないのです。
料理の基本はそんなに変わらないでしょうけれど、好みや流行などはいくらでも変わっていくものです。だから、「ぬた」の基本が「酢味噌で和えたもの」で、なんの差支えもないはず。
これまでの仕事柄、一般家庭の料理に私が慣れてない(?)ものですから、想像でしかないものの、「ぬた」なんて、ほとんど食卓には登らないのではないかと思っています。
調理方法は別に難しいわけではありませんから手軽な料理です。しかし、自分好みの酢味噌を作るのが、意外に難しい。
今ではスーパーの棚にありますから、その心配も要らないかも。
ちなみに、味噌とすし酢と練り辛子を合わせてやれば、簡単にできますよ。+アレンジで個性も出せます。
私の好みを少し言えば、酢と辛子強めでお願いします。
私の好みを少し言えば、酢と辛子強めでお願いします。
使い勝手のいい料理
「ぬた」は季節に応じて、バラエティに富んだ内容に出来ます。ネギの種類を深谷、九条、ワケギ、下仁田と変えるだけでもいい。
◯ 春は青柳、アサリと新わかめ、蕗、芹、ウドなども良いかな
~山形の、薄にごりの出羽桜、春の淡雪でも用意しましょう
◯ 夏は青魚酢〆、穴子、サザエに赤貝、ホヤに、ハモ、胡瓜に茗荷
~静岡の開運吟醸を冷やして飲みたいですね
◯ 秋は焼き木の子、焼きナス、焼き魚、ついでにネギも焼きますか
~高知の、土佐鶴の純米の冷や(常温)が欲しいところです
◯ 冬は下仁田ネギ、水菜、カニ、うなぎ白焼き、タラ白子
~石川の、天狗舞山廃純米を温めの燗でじっくりと
書いているだけでヨダレが出てきそうですが、肉類がなかった?。
だから内緒ですが、店のおすすめに「ぬた」をおくと、大人気なのです。
場合によっては、単純に「ねぎぬた」の四文字でOKです。
これほど、親しまれている料理が、日の目を見なくなっています。
時代というか、流行りというか、私たちは最近、随分と損をしているように思えてなりません。確かに世界中の食材が目の前に並ぶ時代になったものの、その季節ならではのご馳走を見捨ててしまったようで、悲しさを通り越して、場合によっては惨めさを感るrこともあります。冬にトマトを食べようなど、かつて誰が思ったものでしょう。
さあ、世界中でも季節を楽しむことに一番適した国に住みながら、その大事なものを手放してしまっては、まさにワレを忘れた国民になり兼ねないと思い始めました。
美味しい料理とは、手間と時間とお金をかけたものに限らないことを、もう一度思い出したいものです。